おとり捜査というときの「おとり」。
モノを販売するときに、おとりを見せることで、売りたい商品を狙い通りに販売してしまおうという心理作戦。
元は、アメリカの雑誌購読の販売手法はきっかけだとか。
これを物販のネットショップにも応用するための方法について解説します。
ちなみに、おなじみの松竹梅の法則もおとり効果のひとつですね。
雑誌の購読の選択肢におとり
あるアメリカの雑誌社が定期購読のためのプランを発表。
A:ネット購読のみ:6,000円
B:紙雑誌の郵送 :12,000円
C:ネットと紙雑誌:12,000円
このようなプランを提示したところ8割以上の人がCを選んだという有名な話です。
なぜ、8割以上の人がCを選んだかについては詳しく出ていませんが、おそらく「一番お得だ。」という心理が働いたのでは間違いなさそうです。
自分に当てはめて考えてもそうですよね。
紙の雑誌だけで6,000円なのに、ネットでも読めて紙媒体ももらえて、紙雑誌だけの値段と同じですから当然Cを選びますよね。
あきらかにお得ですから。
つまり、値段を論点にせず、お得感で選んでもらう手法と言えそうです。
このように、AとBをおとりにしてCを選ばせる心理作戦がおとり効果ってわけですね。
ちなみに、この例で選択肢をAとBとした場合は7割近い人が安い方のAを選んだそうです。
必ずしも「安い」ことが「売れる」ための絶対的な条件とは限らないってことがよくわかります。
同一商品で3パターンの見せ方を作る
おとり効果を使って商品を作る場合は、同じ商品で3パターンの見せ方ができることが前提になります。
例えば、10万円の洗濯機を販売する場合を考えて見ましょう。
A:洗濯機(延長保証なし):100,000円 ※メーカ1年保証のみ
B:洗濯機(5年延長保証):110,000円
C:洗濯機(5年延長+引取と設置):113,000円
AでもBでも販売することはできますが、消費者の心理を考えるとやはりCを選ぶ人が最多と考えられます。
ただ、BとCを比較した場合、販売側は「旧洗濯機の引取を設置作業」というコストが発生するので、雑誌の例にならってBとCを同じ価格にしてしまい、Cを選ばれると、逆に利益が減ってしまう。
だから、Cを絶妙な価格に設定しておく必要があります。
消費者の心理としては、「できるだけ安く買いたいが設置や処分を自分でやるのは大変だ。3,000円くらいの追加で全部やってくれるなら、それが良さそう。」と。
そこで色気を出してCを130,000円などしてしまうと割高感がネックとなって売れないという事になってしまいそうです。
お得感を演出するおとり効果の具体例
さて、「私は雑貨を販売している。単品で3つの見せ方をするなんて無理かも・・・」
いやいや、世の中いくらでも、おとり効果が使われていますよ。
例えば、あなたが金魚を買っているとします。
餌や水そう用のフィルターなど、いろいろ消耗品を買わなければいけません。
フィルターが無くなりそうになったので、ホームセンターに買いに行きました。
売り場を見るといつも買うフィルターのシリーズの中に「1個増量中」という商品があった。
価格は全部同じ。さて、一般的な消費者はどれを選ぶでしょうか?ということです。
「1個増量してるから利益率低いんじゃねーの?」「儲からないんじゃねーの?」って思いますよね。
違うんです。増量版のほうが利益率が高いのです。
なぜなら、販売側は仕入先と交渉し、通常仕入れる数の3倍を仕入れるので卸価格を下げてもらったのです。
なかなかずるいやり方ですが、こんな販売方法は大昔からどこのお店でもやっていますね。
でも、「おとり効果」なんて命名されているとは知らずにやっているケースも多いでしょう