今回紹介するショップサーブを利用したネット通販(本店サイト)の成功店舗事例は7つ。
と言っても、「個人がコネなし金なし、スキルなしで立ち上げて成功に至った。」というような内容ではありません。
すでにビジネスの基盤がある企業であったり、10年前にスタートしてグイグイ売上を伸ばしているECサイトだったり。
でも、「今イケてる本店サイトはどんなお店?」という視点で見ると、いろいろと勉強になることもあろうかと思います。
「サンクゼール・久世福商店」さん
ショッピングモールなどでおなじみかも知れません。「おしゃれなグロッサリーストア」と言う感じ。
いい値段の商品をおいてますよね。もちろん、スーパーなどで売っているものとは品質なども全然違います。
そんなサンクゼールさんの本店サイトは、「サンクゼール」と「久世福商店」を両方ミックスした内容になっています。
同社サイトで注目すべき点は、「実店舗がおしゃれ」という印象をそのままウェブサイトで表現しているところ。
具体的には写真。ハイクオリティーな写真の数々。たかが味噌汁でも、「おいしそう」と思えるのはもちろん、あわや高級なジャパニーズ・ソイ・スープに見えるほどです。
サンクゼールのコンセプトは「ヨーロッパの風景をベースとした田舎の豊かさ、ここちよさ」、久世福商店は「ザ・ジャパニーズ・グルメストア」。
実店舗で表現している世界観をウェブサイト上でも実現しております。
楽天やヤフーショッピング、あるいは、アマゾンでは、このようなブランドイメージを視覚的に表現するのは困難ですから、実に良い選択をしていると思います。
同社のようにブランドを確立してくると、単に「ちょっといい食品が欲しい。」という需要を超えて、「サンクゼールで買いたい。」そんなファンの獲得がしやすくなってきます。
戦略的には、ECサイトを単なる観賞用にするのではなく、実店舗からネットへ、ネットから実店舗へとお客さんを誘導する施策を行っています。
ファンを多く獲得することで、価格競争やポイントカードなど、レッドオーシャンのなかでライバルを意識した販売方法からは卒業して、ライバルのいないブルーオーシャンで気持ちよく泳ぐことができます。
「本紀州梅オカハタ」さん
写真を見るだけで唾液が出てくるジャパニーズ・ソウル・フードの梅干し。
存じ上げませんでしたが、梅干し専門店としてネット通販で成功している数少ない店舗のひとつ、という感じでしょうか。
2010年あたりの出店なので今年で11年目だそうです。
「ネット販売なんて儲からない。」そんなことが叫ばれはじめた時期に参入して成功しているという点でも学ぶべき箇所は多そうです。
梅農園は多数ありますが、ここまでしっかり本店サイトを作り込んでいるところは少ないですね。
さて、同社の成功に大きく影響を与えたのは、「高齢者をネット販売に誘導した。(倍増)」ということ。
高齢者は新聞を取っている人が多いため、折込チラシでネットに誘導したわけですね。
新聞折込チラシが有効なのも、あと10年もないかも知れないですね。(当店も急がなきゃ(;´Д`))
たまに20代の子が「梅干しが好き」って言ってるのを聞くこともありますが、梅干し好きは基本中年以上じゃないでしょうか。
特に60代70代などは、常備が当たり前といった人も多数います。
しかし、その年齢のターゲットはアナログ系の人が多いので、ネットに誘導するのは非常に難しい。
そこで同社は、アナログ系の人をうまくネットに取り込むことに成功。(※最近の年寄りはスマホを使いこなせるようになってきているけどね。)
また、リピート商材なので、顧客年齢層にマッチニュースレターを発行してユーザーの流出をさける施策(売上げアップ対策の1つ)も行っています。
その結果、売上に占めるリピーターの比率は50%にもなると言います。
また、本店サイトを見るとわかりますが、肉や魚からデザートまで、梅を使ったオリジナルレシピが多数紹介されています。
いわゆるインバウンド・マーケティング(【注】外国人旅行客のあれではない)ですが、ネット上での集客にも手を抜いていません。
「梅岡さん」というゆるキャラまで(ぬいぐるみまで販売中)作ってブランディングに力を注いでいるのがよくわかります。
これからEC始める企業にとっても、成功ノウハウがぎっしり詰まったECサイトと言えそうです。
「うに屋むらかみ」さん
北海道からうに専門店。
選本店というと「お店」っぽいですが、運営元の「株式会社村上」は「うに」の卸売業者です。漁師さんなどから原材料であるトゲトゲ状の「うに」を仕入れて加工販売する企業です。
函館と札幌には、新鮮なうにが楽しめる店舗もあり、また、百貨店などの物産展などにも出店しております(すでに「うに」の口になってきた・・・)。
そして、ショップサーブを使った通販も2006年からスタートさせています。
もともとはB2Bや物産展でのB2Cを基本だったのが2006年(早いですね!)にB2C(今回の場合はD2C寄りか)に参入したとのことです。
直販への参入タイミングが早かったというのも成功の一員ですし、物産展など、積極的に都市圏のユーザーに認知してもらう活動をしてきたのも大きな要因でしょう。
なんせ天下の!?「うに」ですから、あれこれテクニックを使わずとも「食べてもえばわかる」のが最大のウリでしょう。もちろん、写真のクオリティーもクリア。
A級品のみならず、色や形が不揃いだけど味はA級品であるB級品を安く提供するといった、オーソドックスな販売手法を取っています。
さすがに毎日うにを食べる人はいませんが、月に1度くらいは食べてもまったくあきませんから、リピート購入対策についてもメルマガなどを中心に、定期的な施策を行うことで多くのファンを作り出しています。
昨年のコロちゃんブームでは、慌ててECに参入するお店が企業が続出しましたが、どうでしょう?その後続いているんですかね。
ECは一朝一夕では安定的な運営は難しいですから、おそらく8割以上の店舗は観賞用ECサイトになっているのではないでしょうか。
同社のサイトを利用してみることで、どんな運営方法やリピーター対策を取っているのかというのが手に取るようにわかりますので、 物産展に足を運んだり通販を利用したり、食品系EC参入者は視察してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、むらかみさんでは新規購入者の30%以上のお客さんがリピーターになっているとのこと。すげー。
「株式会社榮太樓總本鋪 (えいたろう)」さん
東京日本橋の本店はもちろん、全国のほとんどの?百貨店に出店しているえいたろう。
大きな企業ですが、オンラインショップ運営の施策については緻密な施策を行っていることは、おそらく知られていないでしょう。
1つ例を挙げるとメルマガ。
ただメルマガを送信するのではなく、イベント開催の予告メール、開催中メール、まもなく併催するメールと、ひとつのイベントで3通のメルマガを送信すると言います。
しかも、それぞれ訴求内容に変化をつけることで、様々な志向のユーザーを取り込むことに成功しています。
また、食を扱うお店なのでテキストメールではなく、写真を多く配置するHTMLメールを使っています。
「HTMLはテキストメールよりも3割多く読まれる。」と言われるように、視覚的に飽きのこない演出ができるので、今ではほどの企業が取り入れている形式と言えます。(あ、当店はまだテキストメールだ・・・(;´Д`))
「メサージュ・ド・ローズ」さん
「見た瞬間にバラのシェイプのチョコレートであろう。」ということは想像できると思います。
それ以前に、「ばえ」ですね。
Message de rose(バラに込めたメッセージ)という名の通り、『 “愛と美の象徴である薔薇の美しさをチョコレートで表現し、メッセージを込めたい”との想いからスタートしたブランドです。 』とのこと。
出典:https://www.mesrose.com/hpgen/HPB/categories/22772.html
実に素敵です。
メインターゲットは、もちろん薄汚れたオッサンではございませんね。
愛と美に共感する、そうです。そういった方々です。
同社の成功の秘訣はマーケティングにありと言えます。
具体的には、見ての通り「ばえ」な商品ですから、新規客はインスタから取り込む戦略を取っています。
「写真ばえする商材を扱う企業にインスタは必須である。」ということを如実に語ってくれています。
また、ただ単にインスタに投稿するのではなく、顧客データからターゲット層を絞ってインスタ広告を出すといった施策も行います。
ま、これは、同店だけがやっている特別なマーケティング手法ではなくて、ある程度顧客データのある企業なら、当たり前のようにやっていることです。
ただ、店名は非常に素敵なのですが、はっきり言って初見では記憶できない。
これが同店のデメリット。
それをカバーできるのが「バラ チョコレート」という検索キーワードです。
店名を忘れた場合「バラ チョコレート」ならすぐに思いつきます。
このキーワードに対してリスティング広告を出稿することで、リピーターや映像の記憶を持っている人をスムーズに誘導しています。
ま、これもどこの企業もやっていることなので、取り立てて紹介することではありませんが、逆算してみるのが良いかもしれませんね。
ショップ名を覚えやすく工夫するのはもちろんですが、ユーザーがショップを忘れたときに「言葉で検索してもらいやすい、頭の中にある商品イメージを言語化しやすい商品をあらかじめ作っておく。』という感じですね。
例えば、長崎名物!?「角煮まんじゅう」
そういった意図で作られたかどうかはわかりませんが、「角煮をパン系の生地ではさんでいる。」のはひと目見るだけで記憶に刻まれます。
今回、「角煮」は思い出せたんですが「まんじゅう」が思い出せませんでした。
そこで検索したのは「角煮 サンドイッチ」。
リスティング広告はなし。
ついで、「確か九州だった」ということで「角煮 サンドイッチ 九州」これでようやく辿り着くことができました。
検索ユーザーって実にいろんな言葉で検索します。
業界にいると業界用語が当たり前になって、一般ユーザーもその言葉で検索してくれると思いがちですが全然違うんですよね。
リスティング広告を出す場合は、何の知識も持たないユーザーの視点でキーワードを発掘します。
話はそれましたが、メサージュ・ド・ローズさんのマーケティング手法は、いたって普通ですが、当たり前のことを当たり前に実践できているところが同店の強みではないでしょうか。
まとめ
そんなわけで、ショップサーブの成功事例を5つ上げてみました。
これらのお店さんを紹介しているブログはここだけだと思います。(検索していないのでわかりませんが。)
今回の成功店5店舗に共通して言えるのは、マーケティングにしろリピート施策にしろ、誰も真似できないようなアクロバティックなことをやっているわけではないってことです。
セオリー通り、素直に、必要な施策をコツコツと積み重ねているだけ。
とは言うと簡単に聞こえますが、これを実際にやるとなると、ほんと骨が折れるんですよね・・・
あずきひとつぶひとつぶを、ツルッとしたお箸で右から左へと延々移動させるような作業に近いかもしれません。
だからブログ主はやりません(;´Д`)
だから落ち目の一方でございます。
どなたか愛の手をorz…