100%の身銭を切って起業できるのは勇気のある人か、はたまた、ただのアホか。
凡人は、身銭はおろか、日本政策金融公庫(通称「公庫」)や銀行からの借り入れも、なかなか踏み入られるような領域ではありません。
そこで、お国が後押ししてくれるという制度があります。
その名も、起業支援金・移住支援金。
最大300万円。
なんと、返済不要のお金をポンっとくれるのです。
なんて素敵な話でしょうか。
ぜひ、いただきたい。
いやいや、うまい話には裏がある。
ということで、今回は、地方に移住し、地方で起業するの人を支援する起業支援金(内閣府 地方創生推進事務局)をもらえる条件3つについて、わかりやすく解説してみたいと思います。
条件1 関東圏は対象外
起業の場所は関東圏以外。
つまり、基本的には、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県以外での起業が条件。
ただし、東京圏内でも「条件不利地域」と呼ばれるエリア、例えば、八丈島や小笠原諸島などはオッケーということです。
これは起業す場所であって、「かなずしも移住を伴わなければいけない。」ということではなさそうです。
だから、世田谷区に住んでいる人が小笠原諸島で何かビジネスを始めるのも、神奈川に住んでいる人が大島で起業するのもあり、ということですね。
まあ、そのような地域で、あとで触れますが「社会性のあるビジネス」なんて、普通に考えるとかなり困難に思えますね。
条件2 新規立ち上げのみ
この支援金募集は、2020年3月からスタートしています。
2020年3月以前に、株式会社の設立や個人事業主の開業をしていても、支援金はもらえないという条件です。
たまたま4月に、フリーランスなり飲食業なり、事業を開始している場合は、対象となり得る、と解釈できます。
でも、この条件は、法人作りゃ済むので、大した条件ではないですね。(法人は何社でも作れる。)
条件3 3つの条件
条件1、2は、難易度はゼロと言えるくらい、東京圏内の人や企業なら、だれでも満たせる内容です。
すでに個人事業主で開業していれば、いったん廃業して、新たに開業したり、法人を作ったり、グレーでもなんでもない方法が取れます。
しかし、うまい話には裏があるの「裏」が、この条件3。
条件3に3つの条件が詰め込まれています。
条件3の1 社会性
「社会性」なんですよね〜。
つまり、社会問題を解決するようなテーマであることが必須となるわけです。
ですから、「地方移住して悠々自適の生活をしながら居酒屋でもやっか。」とか、「ネットで仕事をとるフリーランスを始めるけど、地方に引っ越ししよう。」なんてのは認められないんじゃね?という感じ。
そもそも、社会性とはなんぞや?
わかるようで、わからないような、漠然とした言葉に感じる人も多いと思います。
わかりやすく言えば、今、日本国内で「社会問題」とされている課題を解決する目的がある、ということです。
社会問題の例としては、「貧困」「少子高齢化」「待機児童」「食品ロス」「空き家」「あおり運転」などなど。
要するに社会として、困っている、悩んでいる問題です。
国がスパッと解決してくれたら苦労はしませんが、それができないので問題ではあり続けてるわけですね。
地方起業支援金は、これらの社会問題に果敢に挑むことが条件となるのかもしれません。
いや〜、条件3の1で一気に狭き門になりました。
社会起業の例で言えばNPO法人のhomedoor(2010年に19歳の女性が起業。)
「ホームレス」という社会問題に対して、炊き出しをしたり宿を作ったり、就労支援をしたりといった活動をしています。
世間一般からはサブスクで寄付を募ったり、自転車整備の得意な人(当該NPOが支援中の)を雇用してレンタサイクル事業を行なったり。
NPOなんで、基本非営利の活動ですが、社会性、事業性、必要性の3点セットを満たした例として参考になるんじゃないですかね。
参考までに、当該NPOは、駐輪管理の仕事なども企業や行政から受託している例かを見ると、社会性のある事業だと、行政や企業とも絡みやすくなるのがよくわかりますね。
しかし、ソーシャルビジネスを中心にやっているところは、NPOが多いんじゃないですかね。
そういうことを考えると、営利目的で、社会性と事業性という組み合わせは、それだけでハードルが高いような気がします(=「儲けよう」が難しい。)
条件3の2 事業性
例えば、「私は、あおり運転を撲滅するために、高速のETCの前で、ドライバーに向けて『あおるなヴォケー』という旗を24時間体制で振りまくるビジネスを始めます。」
「それ、どうやって収益化するの?」という話です。
社会性は持たせつつも、収益事業として継続できるビジネスモデルであるかどうか?という点も問われそうです。
ますます、門が狭くなってきました。
条件3の3 必要性
なぜこの「必要性」があるのか釈然としませんが、こういうことなのではないでしょうか。
その企業アイデアは、社会性があり収益化が十分見込めるビジネスモデルである。
ところで、それって世の中にいる(必要)?
これが最後の質問でしょうか
必要か否かは、担当者や関係者の裁量なのかどうかは知りません。
「ペットボトルのキャップ」のワクチン寄付事業も、一見社会性はありますが、事業性や必要性は、かなり怪しいという話ですよね。
条件満たした移住なら100万円プレゼント!
条件3が、相当ハードルの高いので99%は振り落とされるんじゃないでしょうか。
でも、晴れて1%になって移住も決意したなら、起業支援金最大200万円にプラスして、移住支援金60万か100万円をもらうことがでいます。
合格祝いみたいな感じですね。
しかーし、またもや、この移住支援金にも、がっつい条件がついております。
それは、東京圏内に住んでいて、過去10年間にトータル5年間、「23区」通勤していた経験があること。
しかも、直近では1年以上通勤していること。
なんじゃそれ。
もう、おかしくなってニコニコしてしまいますよね(^0^)
23区内の昼間人口を減らしたいって思惑のように感じますが、いないっしょ。そんな人。減らないっしょ。
「この支援金の支出はださねーぞ。」という意気込みしか感じられないですね。
なお、単身の移住の場合は60万円で、奥さんや子供、あるいは「両親とともに」なんて場合は100万になりそうです。
割引率がバツグンと解釈
以上、地方で起業、地方に移住に関する支援金について。
他にも細かい条件等ありますが、大まかにはこんな感じだと思います。
不正受給対策も兼ねて、細かな条件が設定されていると思いますが、個人的には、なーんだ、簡単に貰えねーのかよ。萎えるわ。」です。
でも、「オレ、東京で消耗してるわ・・・」など、リアルに地方移住や地方で起業を考えている人は、チャレンジし甲斐あるんじゃないでしょうか。
起業支援金の200万円は、初期投資(経費の2分の1)です。
つまり、300万円の初期投資なら支援金は150万円ということです。
要するに初期費用が400万円までなら、半額の初期投資で済むということです。
初期投資が半額だと、相当やりやすいのは間違いないですけどね。
各自自治体でも支援金多数
今回は、内閣府の起業支援金と移住支援金についてでしたが、ご存知のとおり、移住者を積極的に迎え入れる自治体も多くあり、それぞれ独自の支援金関係などがあります。
例えば、単に「移住したら100万円」とか、「この土地で家を買ったらリフォーム代を最大300万円出す」とか、いろいろありそうです。
ここ2、3年、周りでも実際に移住したり、「移住を考えている」という人も増えてきましたから、今は、まだマイナーなジャンルですが、今後、熱いジャンルになるかもしれませんね。