マッチングリスク意識は、「これぞ販売テクニックの中の販売テクニック」という心理学の応用です。
マッチングリスク意識とは、簡単に言うと、何か商品を買うときに「失敗したらどうしよう・・・」とか「サイズが合わなかったら・・・」という、あの不安感です。買回り品の検討にはつきものの心理ですね。
そして、この不安感が大きければ大きいほど、お客さんは購入をためらうことになります。Tシャツの販売でSとかMしかサイズ表記がない場合は買いにくいです。(身幅や丈とかキッチリ書いておいてください。)
そこで、販売側は、購入を促進するため、この不安をできるだけ解消するための対策を打つことになります。
その対策のひとつが、よくある返品保証です。
「もし、サイズが合わなかったり、肌触りや着用感など、お気に召さなければ、ご自由に返品することができます。代金は返金致します。」
「そっか、サイズが合わなかったり、気に入らなければ返品できるんだ。じゃ、気にせずに買っちゃおう。」と思わせれば成功です。
素人的には、「そんな保証なんかつけると、返品が増えて儲からないのじゃないの?」と思います。
でも、おもしろいことに、返品する人は、全体の数パーセントなんです。「失敗した。」「サイズミスった!」という人で実際に返品行動に移る人は、ごくごくわずかなんですね。それを逆手にとったテクニックです。
例えば、保証なしなら月平均10点売れていた商品に返品保証をつけてたところ平均20点に増えた。返品は3点。つまり、保証をつけることで7点の売上増を見込めたわけです。(数字はイメージ)
返品不可で販売すると、当たり前のように「返品で」という、規約を全く読んでいないお客さんが現れます。
そんな時に、「返品は不可って書いてるでしょ!ちゃんと読みなさいよ!」と返答するめんどうくさい対応や「返品不可」と言ってもゴネてくる半クレーマーなどの対応コストを考えると、返品保証を通常のルールとして取り入れて、事務的に処理した方が、結果的に儲かってしまうわけです。
ただ、1万円未満の、単価の安い商品を扱っていると、わりとすんなり、こういったテクニックを応用できますが、高額なものになると、なかなか踏み切れないですね。
ま、そこは店主が、マッチングリスク意識を応用してまでも売上を上げたいのか、あるいは、そんなテクニックはなしで、普通に商売をしたいのか。二者択一になるのではないでしょうか。