広告を打ち出す場合、「何を訴求するか。」ということを考えます。
訴求とは、 消費者が買う気を起こすよう訴えかけること。
わかりやすく言えば、アピールです。
商品のどういった部分をアピールするかって話。
今回の訴求型を知らない新米販売者は、おそらく「割引」しかしらないでしょう。
これは1番目の価格訴求型というアピール方法です。
訴求はそれだけじゃないんですよね。
では見ていきましょう。
価格訴求型
言うまでもなく、価格を全面に売っていく手法。
「90%オフ!」に始まり、「大赤字での販売です!」といったのも価格アピール。
商品の特性などには一切触れず、ひたすら価格押し。
家電など、どこで買っても同じ商品の場合は、価格訴求以外は難しいですよね。
だから、価格コムなどが人気になるわけです。
不動産売買の現場でも「あなたのマンションを買いたいと言うお客様がいます。予算は3600万円まで!」といったチラシを見かけることがあります。
「中古で売りに出させる」ことを目的としたチラシです。
もし、自分が住んでいる部屋は「2500万くらいの価値」だと思っている人には、突き刺さる数字ですよね。
希少性訴求型
「このはちみつは、A農場から毎月3本分しか取れません。」
など、希少であることをアピールする方法です。
関西地方などではよく使われる「値打ちをこく」という表現に相当します。
「私、めったに居酒屋とか来ないんです。ふだんは高級バーしか使わないの。」
なんていうと、「この女値打ちこきやがって。」と言われるわけです(笑)
ま、ちょっと例えが悪かったですが、「めったにない」とか「少量しか取れない」「狭き門」など、いろいろな言い回しができるので、類語辞典などで言葉を調べてみましょう。
逃避訴求型
人は、本能的に苦痛からは逃れたいもの。
「肥満でお困りの方」なら、肥満を悩んでいる人に「開放されませんか?」と訴えかける。
悩みにつけこんで、その開放を謳(うたい)い文句にするのが逃避訴求型です。
「人件費をおさえませんか。」「業務効率化が進められれます。」なども、企業の悩みに対する「開放」を提案している広告文句と言えます。
この別名「苦痛からの開放型」のキャッチコピーが溢れかえっています。
なぜなら、人間の本能に関わることなので、今回の訴求型の中でも、もっとも強力だからです。
限定訴求型
「10個限り」「本日限り」「30代の独身男性」「最終」・・・
このように、数字、あるいは日にちなどを限定する訴求方法。
「10個限り」や「本日限り」、「最終」などは、希少性のニュアンスも含まれます。
また、「30代の独身男性」など、ターゲットを限定した場合は、振り返ってもらいやすい効果があります。
また、広告に数字を使うと「目に止まりやすい」ので、多くの広告に数字が使われています。
トレンド訴求型
「ネットでバカウケ」「主婦の間で大人気」「ツイッターで話題の」「インスタで話題の」など。
「トレンド、すなわち、流行している」ということで訴求するスタイル。
心理学において「バンドワゴン効果」という考えがあります。
「(え?みんな持ってるの?)流行に乗り遅れたくない!」
そんな心理を起こさせる効果です。
もちろん、流行になびかない人もいるので、どの訴求型にも言えることですが、すべての人に突き刺さるとは限らないですね。
贅沢訴求型
「ワンランク上の」「上質な」「最高品質の」など、贅沢さをアピールするスタイルです。
ただ、個人的には、この訴求型は注意したいことがあります。
それは、そのキャッチコピーは、「文字通りの感覚」を「ユーザーの頭の中にイメージさせることができているか?」ということです。
上記の「上質な」と言葉で書いてみても、それを見たユーザーは、果たして「ほんとうだ。これは上質だ。」と感じているかどうか?
キャッチを書くのは簡単ですが、感覚を持ってもらわないことには、反応が得られません。
「上質さ」をアピールするなら、言葉だけではなく、写真なども使って具体的に上質さを証明する工夫が必要です。
例えば、上質なTシャツを販売している場合。
安物の生地と、上質な生地の拡大写真を比較して、「なるほど、それならわかる。」と思わせる工夫です。
威光訴求型
威光(いこう)とは、わかりやすく言うと「ご立派感」です。
「ドヤ顔」で使うときの「ドヤ」感です。
創業200年(ドヤ!すげーだろ)
東証一部上場(ドヤ!でかい会社だぜ!)
また、あのスマッペのキムタコ愛用のブランド!
など、威光=ドヤで覚えておくと良いでしょう。
威光を使うことで、消費者心理には「信頼感」を作り出すことができますので、広告以外、会社案内などにも使えるテクニックと言えます。
ただし、「東証一部上場」と聞いても、「それがスゴイことなのかどうかわからない人が多い」場合は、無意味ですね。
「業界初!」といったキャッチも見かけますが、「初の何がスゴイの?」って思っちゃいますよね。
ターゲットに刺さらないキャッチや言葉は、画面を邪魔しているゴミでしかないのでしっかり考えたいですね。
ベネフィット訴求型
一番最後にもってきましたが、実は、最初に考えるのがこのベネフィット。
その商品を通じ、消費者が最終的に得られるメリットのことです。
例えば、一戸建てを売るとき、「この家は太陽光発電を全面にと入れているので省エネ達成率は99%です。」など。
でも、家を買う人が、「庭付き一戸建てで家族仲良く幸せに暮す。」といったイメージをしている人が多いとするなら、そこをアピールしないことには反応が得られないのです。
だから「収納が30平米」「省エネ率99%」「耐震性バツグン」など、スペックを並べ立てても、消費者には突き刺さらない。
逆に、「家族が仲良く暮らせる間取りの設計」だったり「プールを置いて水遊びをするには十分な広さの庭」など、住んだ後の生活がイメージできるような訴求方法をとります。
広告作成3つのポイント
広告はあくまで入り口。
ユーザーに入ってもらうことが最大の目的です。
だから、広告にあれもこれも、ぶち込むのではなく、クリックしてもらえる最低限の要素を盛り込んで作成します。
その際、おさえたいのが3つのポイント。
1つ目は、ターゲットに語りかけるように(あるいは、ささやきかけるように)
2つ目は、情報を全部出すのではなく、「その先が知りたい(見たい)」と思わせる
3つ目は、消費者の声を活用する
他にも、盛り込むポイントはありますが、まずはこの3つを中心に考えていくと良いと思います。