実際にあった話を元に、「信用」について考えたいと思います。
まずは「信用」という言葉の定義から。
『 それまでの行為・業績などから、信頼できると判断すること。 』(goo辞書)
うまく説明してくれていますね。
「それまでの」と言う説明があるように「信用」とは「歴史」という大前提が必要ということになります。
スタッフの鈴木さん
鈴木(仮名)さんは、楽天市場のネットショップ(A店)でスタッフをしていました。
規模の小さい会社なので、業務は受注からウェブ、商品の梱包や発送、そして顧客管理まで多岐にわたります。
仕入れは基本ワンマン系の社長が担当しているけど、普段の仕入先とのやり取りは鈴木さんが担当。
毎日楽しく仕事をしていましたが、「一人で何でもこなせるようになったし、今売っている商品も好き。自分でネットショップを持ちたい。独立したい。」
そう思うようになりました。
独立そして仕入れ
数ヶ月いろいろ悩んだ末、楽天ショップを辞めて独立することを決心。
いきなり辞めても代わりのスタッフがいなくなるので、新しいスタッフを募集し引き継ぎも行いました。
「さあ、これから一国一城の主になる。楽しみだ。」
そして、楽天のときにお世話になった仕入れ先に行くことに。
仕入先メーカーは社長含め2、3人でやっている輸入商社。
「やあ、鈴木さん元気?」
「はい!おかげ様で!」
そんな和気あいあいとしたやり取りの後、独立をしたこと、「個人として、新規で仕入れをお願いしたい。」と申し出ました。
いきなり地獄
すると、あっさりお断り。
「仕入れはさせてくれない。」とのこと。
理由はこうです。
A店と取引をしているのは、A店の社長との、長年の個人的な付き合いと信頼関係があるから。
あなたはその会社の一社員。
あなたのことは好きですが、あなた個人と信頼関係を築いてきたわけではないので取引するつもりはない。
また、他店に卸すことになるとA店のライバルが増えることになる。(ネット販売店には、信頼関係のあるところにしか卸さないポリシー。)
つまり、A店の売上を間接的に奪うことになるので、とてもそんなことはできない。
鈴木さん、ネットショップを開業するプランがいきなり崩れたわけです。
その後どうしたのかは知りません。
どこの業界でもあるある
この種の話はどこの業界でもありますね。
ビジネス現場のシビアな面と言えます。
特に、大手企業有名企業の看板を背負っている場合は、個人に信用があるのではなく、背負っている看板に信用がある。
だから、看板を外したとたんに信用はなくなる。
とある東証一部上場企業の知人が何人かいますが、どうしても「有名企業の人」というバイアスで見てしまいます。
でも、もし彼らが会社を辞めたなら?と考えると、特に人間的な魅力があるわけでもなく、「ただのオッサン」でしかない。
心理学で言うところのハロー効果ですね。
人はついつい、他人の身にまとっている肩書や容姿などの付属物を含めて人を判断してしまいます。
銀行との関係で考えるとわかりやすい
「信用問題」は、銀行との関係を考えるとわかりやすいでしょう。
また別の会社を例にとります。
山田さんはB社という会社を10年やっていて黒字も続いている。
現在、M銀行から1000万円ほど借り入れをしている。
銀行に対して「信用」があるので貸してくれたわけです。
ところが、山田さんが新しく立ち上げたCという会社。
設立2年目で赤字が続いています。
運転資金が枯渇してきたので、M銀行に融資をお願いした。
ところがお断り。
これは個人の信用というより会社の信用問題ですが、世の中シビア~な部分ですね。
私の過去の話ですけど(笑)
銀行って、社長が善人だろうが悪人だろうが関係なし。数字しか見ないんですよね。とほほ(-.-)。