輸入品を扱っている場合など、わりと頻繁に出てくる基礎知識「OEM(オーイーエム)契約」と「ライセンス契約」について復習したいと思います。
まずは、わかりやすくするため、デザイナーのSaaS(サース)」さんが、架空のブランド「V.D.I(ヴィー・ディー・アイ)」を立ち上げたとします。20代半ば~30代前半の独身女性をターゲットにしたナチュラルテイストのファッションブランドです。東京を中心に、数店のセレクトショップの取り扱いが決まりました。
さて、サースさんは、デザインした洋服を販売したいのですが、彼女はデザイナーなので、作ることに関してはド素人です。そこで、洋服が作れる縫製工場に「作ってよ。」と頼みます。
これが、OEM製造です。
縫製工場(A)は、サースさんとOEM契約をして、彼女の依頼により「V.D.I」というブランドの洋服やアクセサリーを製造し、V.D.Iを販売してくれるセレクトショップに納品します。このとき、サースさんは縫製工場に製品代を支払います。
無事セレクトショップに納品されたV.D.Iですが、とても順調に売れて製造が追いつかないほどになってきました。
考えたサースさんは、大阪にある別の縫製工場(B)にも製造をお願いすることにしました。担当者と話をすると、実は、その縫製工場(B)は、自社ブランドの「UI&UX」を製造し、関西の8店舗で販売していることを知りました。つまり、製造はもちろんのこと、販売部門も持っていたのです。
サースさんは、セレクトショプを新たに開拓したいけど、時間がないので、この縫製工場(B)に、デザインデータやパターンデータなどを貸して、B社の販売ルートで売ってもらうことにしました。
これが、ライセンス販売です。
「デザインを貸すので勝手に作って売ってください。その代わり、デザイン使用料をくださいね。」というやつです。
そうすることで、新たな販売店を開拓する手間も省けるし、納品だの支払いだのいった業務の手間も一気に省けます。メーカーBが販売した金額に応じてライセンス料をもらうだけです。このとき、デザイナーSaaSさんを「ライセンサー」、縫製メーカーBを「ライセンシー」と言います。
なお、サースさんの仕事としては、ライセンス契約を結んだメーカーBが「粗悪なものを作っていないか?」とか、「ブランドイメージを損ねるような売り方をしていないか?」などをチェックします。