「確定申告をやったことがない。」「よくわからない。」「やったことはあるけど、結局何なのかわからなかった。」
そんな人のために、確定申告とは何か?
また、確定申告をするメリットなど。
一生会社勤めをすることを決めている人にとっては、あまり関係のないことですが、起業や副業を検討している人には、必須とも言える知識です。
確定申告とは自己採点のこと
誰でも、小学校や中学校、高校でテストを受けたことがあります。
成績の悪かった人もいれば優等生だった人もいるでしょう。
成績の良し悪しに関係なく、全員に共通しているのは「先生が採点する。」ということです。
ですから、80点の人も0点の人も、その点数は動かすことはできない事実になります。
でも、たまに「自己採点」をやったことはありませんか?
自分で答え合わせをして点数をつける。
ケアレスミスで本当なら不正解だけど、そこをバツにすると79点になる。80点のほうが気持ちいいので「正解にしちゃった。」
あるいは、完全な正解じゃないけど、「ほぼ正解」なんて場合は、自分に甘く丸にする。
ズルと言えば聞こえは悪いですが、自己採点だと点数を自分でコントロールできます。
この自己採点に相当するのが確定申告です。
1月から12月までのビジネスの成績を自分で採点して提出するのです。
逆にお勤めで給料制の人は先生の採点。だから、点数は自分では変えられない。
この説明だとかなり誤解を生みそうですが、あえて、わかりやすく例えてみました。
習ってないので難しく感じるだけ
確定申告のやり方は学校では習いません。
確定申告塾もないですし、個人事業主を始めたからと言って、税務署員が自宅まで研修しに来てくれることもありません。
独学で学ばないといけないことなんですね。
と言っても、さほど難しいことではありません。知識がないから難しく感じるだけです。
フランスに旅行に行っても、フランス語しらなければ「何を言っているかわからない。」のと同じこと。
しっかり学んで知識をつけてしまえば、どってことありません。
数学や科学や物理の知識が必要なわけもなく、日本語が読み書きできれば、誰でもできることなのです。
まず知るべき3つの言葉の正確な意味
確定申告を理解するうえで大事なのは言葉の正確な意味をしることと、計算方法を知ることです。
今回知ってもらうのは「収入」「所得」「控除」の3つです。正確な意味を理解することが大切です。
計算方法は、足し算と引き算、掛け算とわり算だけです。微分積分や二次関数などはできません。算数のレベルです。
収入【しゅうにゅう】とは
わかりやすく1000万円という数字を使います。
年間の売上1000万円。
「売上」の意味は大丈夫でしょうか?
販売価格1万円の商品を1000個売ったら売上1000万円です。
そして、確定申告では「売上」と言う言葉は一言も使われず「収入」という言葉が使われます。
ややこしいですよね。
「ご主人の収入はどれくらいのなの?」など、日常会話で使う「収入」とは、かなり意味が違います。
所得【しょとく】とは
1万円の商品は1個5000円で仕入れていました。つまり、1000万円のうち500万円は仕入代というのがわかります。
メーカーさんに支払い済みとします。
手元には500万円。
販売のために広告を出しました。年間200万円。
これを経費といいます。
500-200=300万円。
とりあえず、経費は広告だけだったとします。
すると最終的に残るのは300万円というのがわかると思います。
これを確定申告では「所得」と言います。
はい。またややこしいですね。
「ダンナの所得っていくらくらい?」
オバハンたちが話題にするときの所得の意味とはちょっと違う。
ちょっとまとめます。
1000万(収入)-700万(仕入れ+経費)=300万円(所得)
控除【こうじょ】とは
控除とは「引くこと」を意味する漢字です。
確定申告書の中に「社会保険料控除」という欄があります。
社会保険とは、年金や健康保険のことです。
払っていますよね。
例えば、国民年金が16000円(月額)×12=192000円
健康保険が1万円×12=120000円。
こんな感じでしょうか。
先ほど、所得は300万円になりました。
そして、そこから社会保険料を引きます(「控除する」と言う)。
300万-312000円=2688000円。
これを「課税所得」といいます。つまり、「この金額に税金がかかってくる」という意味です。
「収入や所得にかかるのではない。」というのがポイントです。
以上を頭に入れて、確定申告の計算式を確認してください。
収入-(仕入れ経費)=所得
所得-控除=課税所得
算数ですね。
数式の中が漢字なのでちょっと分かりづらいと思いますが、ローマ字で書くと次の様になります。
A-B=C
C-D=E
ちょっとスッキリしましたね。
経費と控除の鬼になるのがポイント
「経費」は、普段使われる意味とまったく同じなので、あまり気にすることはありません。
ビジネスを行う上で出費したお金のことです。
そして、控除は先程の説明のように所得から引くお金のことです。
ただし、所得から引ける控除は最大12件しかありません。これは国が決めていることなので個人ではいじることはできません。
でも、お得になるためには、この控除額を最大限にすることなのです。
パートやアルバイトでも「控除」を知るとお得
ちょっと話はそれますが、当社ではアルバイトを雇っています。
年末になると「年末調整」を行います。
なんのことかわからない人も多いと思いますが、所得と控除の意味が理解できたなら、年末調整の意味もわかります。
アルバイトは時給だけをもらい、「国民年金」や「国民健康保険」は自分で払います。
先程出てきた「社会保険料控除」の対象です。
年末調整の時期に、会社に対して「これだけ年金と健康保険料を払いました。」という領収書を提出することで課税所得が減ることになります。
ちょっとむずかしいと思う場合は、このチャプターを読み返してくださいね。
「課税所得が減る」=「税金が減る」も理解できると思います。
ところが、「年末調整の意味がわからない。」「年金や健康保険の領収書もどこかに行ってわからない。」
こんなフリーターばかりなんですよね。
そして、控除なしのまま手続きは進められます。
その結果、同じ給料でも、提出した子としない子とでは払う税金の金額が違ってくるのです。もちろん、提出した子のほうが税金は安くなっています。
例えば、当社の場合アルバイトの子は年間150万円ほどの年収になりますが、提出しなかった子の所得税は23000円、提出した子の所得税は13000円ほどでした。
倍近く変わってきているのがわかると思います。
提出しなかった子に言わせると「1万円と2万円なんて大した差じゃない。」って言います。
それは、それで構わないのですが、 その感覚のままだと、100万円と200万円の違いも、1000万と2000万の違いにも無頓着になるのです。
自分で事業をやっている人にとっては、ありえない感覚なのです。
経費こそお得の源泉
話は個人事業主に戻ります。
税金がかかる金額を課税所得といいます。
この額を少なくすることで、税金はもちろん、国民年金や健康保険の金額も安くするとができます。
課税所得を低くするには先にあげた控除と経費が決め手となるのは理解できるかと思います。
ただ、控除は枠が限定的で生命保険に入っていない人は、そもそも「生命保険料控除」が使えません。
でも、経費の制限は「仕事のための出費か?そうでないか?」イエス・オア・ノーの世界なのです。
ですから、控除とは比較にならないくらい幅が広い。
だから、個人事業主は経費について深く理解すればするほど、課税所得を下げて税金や各種保険料も低く押さえることができるようになるのです。
採点を先生にまかせているうちは、先生の採点通りの点数のまま人生が過ぎていくのです。