タニタの例に見るように、今後もしかすると、社員はもちろん、アルバイトも個人事業主として契約しなおす流れが出てくるかもしれませんね。
従業員か個人事業主か?
その判定基準となる9つの項目について、あれこれ。
すべて満たすと個人事業主として「認められる」というわけではなく、「どっち寄りなのか?」という、若干漠然とした判断になりそうです。
明らかに「偽装請負だ!」と言われるようなケースでない限り、個人事業主化はできそうな感じですね。
ネットショップ運営スタッフを想定して各項目を考えてみました。
拘束性(時間・場所は拘束できない)
場所や時間について、「ここで9時から17時まで働いてください。」「11時~15時は必ず社内にいてください。「」などど時間的、場所的に拘束する場合は従業員。
逆に、「場所も時間も自由でどうぞ。」と言える場合は個人事業主扱い。
もちろん、タイムカードはなし。あれば従業員扱いです。
代替性(他の人にも頼める)
「その人でないとできない仕事だけ」だと、従業員。
でも、その人が「旅行行くので、半年間、仕事受けられません。」と言うときに、「じゃ、代わりの人探すね。」と言えて、それで業務が遂行できるような場合は個人事業主扱い。
と言うことを考えると、「属人的」な仕事はできるだけ排して、代替えのきく仕事で構成するよう努めないといけないですね。
つまり、仕事の標準化。
費用負担(すべて実費でお願い)
「パソコンとケータイお渡ししますね。交通費も出しますね。」という場合は従業員。
「パソコンやケータイは自分のやつ(実費)を使ってね。交通費は自分でお支払を。」と言う場合は、個人事業主。
要するに、「仕事をするための道具」は自分で用意してね。ということ。
また、「あなたのミスで送料がだぶってしまった。(キャンセル品を間違って送ってしまった。)」と言う場合、従業員なら会社で負担するのが当たり前(従業員から罰金を取ることはない)ですが、そういった損害や費用も、個人事業主に請求する契約なら「個人事業主率」は高まりそうです。
ミスの損害を会社で吸収する場合は従業員で、損害をすべて負うのが個人事業主。
指揮監督(命令しません。おまかせします。)
仕事それぞれについて会社から事細かく指示や命令がある場合は従業員。
「そのメールはもっと細かく丁寧に書いてください。」「その画像は300dpiで加工して保存してください。」など、指令を受ける場合ですね。
「受注処理をおまかせします。」「A商品のランディングページの作成をおねがいします。」と、「業務をこなせることを前提」に、ざっくり仕事を依頼するような場合は個人事業主。
いわゆる、「個人の裁量」によって仕事が進められる場合が個人事業主。
「納期までに納めてくれたら報酬は払います。その間、あなたがだれであろうと、どこで何をしようと当社は関係ありませんし、知りません。」
そんなスタンスで契約する場合。
専属性(行動は自由)
「当社の仕事以外しないでください。副業禁止」という場合は従業員。
特に指定せず、「当社が依頼した仕事をこなしてくれれば、他でどんな仕事をしようと関知しません。」と言う場合が、個人事業主。
タニタでも個人事業主になった人は、タニタ以外の仕事も受けるわけですが、それをいちいちタニタに報告する必要は一切ないわけです。
タニタは、事業主として1つの仕事に過ぎないということです。
会計士がA社、B社、C社と契約するような感じです。
「別に、御社だけがお客さんじゃないですし。」というスタンスです。
諾否の自由(嫌ならやらなくても良い)
「こんどさあ、新商品が出るんだけど、メーカーに打ち合わせに行ってくれない?」など。
従業員なら、どんな命令も「はい。」とこなします。こなさざるを得ません。
でも、個人事業主として「受注処理」を請け負った場合は、「いやいや、私が請け負ったのが受注処理だけだし。打ち合わせとか知らないし。」と拒否できることが前提。
逆に、「わかりました。打ち合わせしてきましょう。」と言う場合は、本来の契約とは別の仕事なので「別料金」として請求するし、会社として支払うのが個人事業主。
組織への従属性 (社内ルールは無視でOK)
「茶髪禁止」「遅刻罰金」などの規則、あるいは、軽井沢の別荘1泊2000円」といった福利厚生などを与えられるのは従業員。
そういった従業員のルールには一切規制を受けないのが個人事業主。
「別荘は優待してくれ!」など福利厚生だけでも分けてくれ、と言いたいところですが、そこは応相談でしょうか。
報酬の計算方法(日数や時間指定はなし)
「月160時間でいくら。」と言う場合は従業員。
「今月の受注処理16万円」という場合は個人事業主。
つまり、「イラスト10個まで作って3万円」「ブログ記事を月30件書いて5万円」など、仕事毎に報酬を決めるのが個人事業主と言う感じですね。