昨年からの国民挙げての滑稽な大騒ぎをきっかけに、ネット通販などECビジネスが急激に伸びているのはご存じのこと。
そこで、乗り遅れまいと個人で「ネットショップ」を「新規事業」として始めた人も多かったようですが、大半は観賞用ウェブサイトで終わっているようです。
一部、餃子店が冷凍餃子の通販を始めたり、イタリアンのお店が冷凍パスタの通販を始めたりと、すでに認知されている店舗のEC参入の結果はゼロではないようです。
さて、D2C。メーカーが問屋などを介さず、自社のECサイトを通じて、消費者に直接販売するビジネスモデル。
参入が簡単なためアメリカではブームに陰りが見えてるようです。
でも、日本はアメリカの2年前とか3年前とか言われるように、 日本ではまだまだ。
うまくD2Cに乗り遅れず波に乗っている企業もあるけど少数派。
参入したい気持ちはあるけど、結局何も手けられない乗り遅れ組がほとんどと言えそうです。
そこで、乗り遅れてしまった企業を手伝うECコンサルは、ニッチかもしれませんが、今後需要があるのではないでしょうか。
そんなECコンサルになるために必要な知識などを考えてみました。
自分で作って運営する
いくらパソコン1台で開店から運営までできるECとは言え、机上の勉強だけで、いきなり実践は難しいでしょう。
まずは、自分でECサイトを立ち上げて運営するところまでの「一式の経験」は、最低限必要です。
幸い、ネットショップなんて、今でも、ほぼ無料でできるわけですから、儲かろうが0円だろうが、結果はどうあれ、職業訓練だと思ってやってみるのは悪くないでしょう。
開店から運営まで、一式の経験を積むことで、ECサイトのオペレーションの知識、業界に関する知識、マーケティングなどのスキルを身に着けることができます。
たまに、入りたい業界に「ただ働きでよいから働かせてください!」と言って、採用してもらい、お金をもらわずスキルを身に着ける人がいるのと似ているかもしれませんね。
表には出ていませんが、通販開業システムのショップサーブのECコンサルタントの中にも、ECサイト運営経験者や現役で通販サイトをやっている人もいます。そして、D2Cの立ち上げにかかわっています。
EC参入の7ステップ
コンサルタントは国の資格も認定もいらないので自称でOK。名乗った瞬間からコンサルタントになれますね。
参考までに、ECコンサルがわかっておくべき、メーカーがECに参入するときの7ステップについて紹介しておきます。
ちなみに、これはメーカーだけに限ったことではなく、個人の副業でも、同じ流れになります。
市場規模のチェック
ファーストフードなど、飲食店などが新規店舗を出す前に、目を付けたエリアで交通量を調べたり地域の夜間事項や昼間人口を調べたりするのと同じです。
これから参入する自社の業界の市場規模がどの程度で、どれくらいのシェアがどれるのかを検討します。
ライバル企業がどのくらい存在していて、どの程度の強さなのかなどのチェックです。
具体的には、「ひたすら検索」ですね。
なかなか泥臭い作業です。
損切ポイントの数値化
大なり小なり予算を組んで参入するわけですが、予算を食い尽くした段階で、継続する価値も希望もないとなれば撤退です。
潔く撤退するのも重要ですよね。
「なんとなく無理じゃね?・・・」とか「いけるんじゃね?」といった、根拠のない感覚的な判断ではなく、数値で判断できるようにしておくのがポイントです。
いわゆるKPIの設定などがそれにあたります。
1顧客を獲得する単価を3000円として500人の新規客を集める。予算は150万円。いざやってみると顧客単価5000円になり300人しか集まらなかった。どうする。という感じ。
「F2転換率」もKPI指標のひとつですね。
F2の「F」は頻度の意味でF1が1回目、F2が2回目。つまり、F2転換率は、2回目の購入へ至る率のことです。
リピート率60%を目指すなら500人×60%=300人ということですね。
これはリピート施策のところで活躍する考えですが。
リピートモデルのビジネスの場合は、数か月の広告で赤字が続いたとしても、ある程度の顧客を抱えることができれば、長期的には黒字化できることもあるので、それも併せて数値目標を出します。
販売チャンネルの選定とサイト構築
販売チャンネルの選定とは、簡単に言えば、販売する場所選びです。
ネット上には様々な「場所」があります。
例えば、アマゾン、楽天、ヤフー、自社サイトなど。
「アマゾンでの販売に向いている商品」ならまずはアマゾンから攻めたり、自社のブランディングが重要だと考えている場合は、自社サイトを立ち上げたり。(!ブランディングを検討している場合は、楽天やアマゾンは不向き)
自社サイトに決定したなら、どこの通販システムを使うのかについての検討も必要です。
通販システムは、国内外でメジャーなところは10社もないくらいです。
食品のリピート販売に強いショップサーブを選んだり、コストを究極まで抑えたい場合はShopifyで立ち上げたり。
「どのようにビジネスを運営していくのか(事業設計)」や「予算」の兼ね合いも含め、最適な通販システムを選びます。
リピートモデル作り
フロントエンド商品(集客用商品)で見込み客を集め、長期にわたり顧客を関係性を築いていくためのモデル作りをします。
と言っても、ゼロから設計する必要はなく、うまくいっている企業のやり方を、(言い方は悪いですが)そのままパクるのが最短です。
例えば、最近個人的にチェックしてみたのは、和歌山県の梅干し生産者。
ショップサーブで本店サイトを運営していますが、サイトを訪問し消費者になりすまし商品を買ってみます。
商品が送られてきたときに何が同梱されているか。また、メールはどのような頻度でどのような内容が送られてくるか。
また、リピートビジネスでD2Cをやっているお店や企業の大半は、郵便で送るダイレクトメールもフル活用しています。(ここ意外に大事)
何もかもデジタル化に向かっているからこそ、このようなアナログな手段は消費者の目に届きやすいですね。意外に知られていないかもしれません。
集客
ECビジネスの稼働準備ができたら、ここからがスタート。
おなじみ、集客です。
様々な広告はもちろん、ブログなどのコンテンツを積み上げて行ったり、SNSで情報を発信したり。
ターゲットユーザーが高齢層の場合は、新聞折込チラシなどアナログ手段を使うこともあります。
最近の高齢者は、スマホでネットショッピング「できる」人が増えており、しかし、わざわざネット検索はしないのか、アナログ広告が有効であるケースも少なからずあります。
ただ、新聞は斜陽産業であるため、今の新聞購読層が黄泉の国に移住するころには、折込チラシは過去の遺物になってしまいます。
リピーターを回す
新規顧客からリピーターへと導くための各種施策を行っていきます。専門用語でいうところのCRM(Customer Relationship Management)。
CRMと聞くと難しそうに聞こえますが、要するに「顧客台帳を活用する」ということです。
江戸時代の商人もやっていた、実に300年以上も歴史のあるリピート施策ですね。
当店も実は、20年近く前にやっていた通販サイト(閉店)では、「紙のノートに顧客リストを手書きし、購入商品から各顧客の好みを分析して、新商品が入ってきたら該当しそうな顧客に対して手動でダイレクトメールを送る。」といったアナログなことをやっていました。
今は、これを全部画面上でできるようになっています。
ヤフーにもショップサーブにも、基本的なCRM機能がついているので、その操作方法をおぼえるだけで、リピート施策を実行していくことができます。
走り続ける
どんなビジネスでも、ある程度新規顧客を集められたから「おしまい。」ということはなく、新規顧客は常に集めないといけません。
なぜなら、新規顧客からリピーターになっても必ず流出する顧客がいるからです。
「売り上げアップ」と言えば、新規客を集めたり、単価を上げたり、ついで買いを促したり、追加的な施策に目が行きがちですが、「リピーターの流出防止」もある意味売り上げアップの施策のひとつと言えます。
また、販売ページやランディングページの改善、バックヤードのオペレーションの合理化なども行っていきます。
「ブログにコンテンツを積み上げ、SNSで常に情報を発信し、アクティブに走り続ける状態まで持っていければ、実は、かなり楽にはなります。
その後の施策
うまく軌道に乗せることができたら、これまで構築してきたシステムで回していくのも重要ですが、多チャンネル展開をしたり、実店舗を持ったり、催事に出店したり。
いままで本店サイトだけで運用していたものを、アマゾンや楽天、ヤフー、au Wowmaなどにも出店していきます。
また、海外展開をするなど、国内のみならず、世界に目を向けて発展させる方法もあります。
海外展開というと難しそうに聞こえますが、日本語サイトにちょこっと細工するだけで海外ユーザーを取り込める便利なサービス(https://www.worldshopping.biz/)もあるので、使ってみるのも良いでしょう。
効果的な集客方法
アマゾンだけに出店している企業の場合、「サイト内検索」が最も多いケースも多いでしょう。
でも、本店サイトの場合は、広告をはじめブログやSNSなど、ユーザーが流入するメディアは様々です。
重視したい参照元を6つほど挙げておきます。
- ディスプレイ広告
- 優良検索(リスティング広告等)
- SNS
- メルマガ
- 自然検索(ブログ)
- 直接訪問※
※直接訪問はブックマークなどから直接アクセスするような例です
定番の強み5選
個人店であれ、D2Cであれ、「強み」がないと新規客はなかなか食いついてくれません。差別化や強みなくして市場規模やシェアの選定は不可能。
そんな時に役立つのが強み5選。
自社に以下のいずれかに該当する強みはないか、検討してみましょう。
- 実績(何かでNO.1をアピールできないか)
- 安心、安全
- メイド・イン・ジャパン
- 保証
- 顧客からの支持(レビュー)