経費に関する質問は多いです。
(会計士じゃありません。会計好き歴25年以上の経営者です。)
今回は、個人事業主・法人関係なく、スーツもカバンも服も何でも「経費になり得る」ということについてお話します。
まずは、100%経費にならない条件から知りましょう。
100%経費NGの例
すごく簡単なことなんですが、経費とは仕事をする上でかかった費用のこと。
売上を作るために活動したときの費用です。
だから、プライベートな支出は100%経費になりません。
例えば、
- 子供の教育費
- 家族旅行の代金
- 自宅の家賃や電気ガス水道代
- 食費やピザの宅配代
- 自動車税
- 駐車場代
いずれも「売上を作るのに寄与しているか?」という質問で「NO」となる支出については経費にすることはできません。
スーツケースもキャリーケースも経費
例えば、キャリーケースの場合、家族旅行用の場合は経費ではないけど、仕事の書類やパソコンを入れ出張用途なら経費にすることができます。
スーツも、仕事用であれば経費です。
ただし、普段の仕事着は作業服だが、取引先との会合のために買ったなら立派な経費です。
「普段の仕事着がスーツ」という場合は、経費は難しいかもしれません。
ここでのキーワードは「仕事のためにどーしても必要。(仕方なく買った。)」というようなケースです。
NetflixやHuluのサブスク料金も経費
最近、U-Nextで映画を毎日のように見ています。
サブスク費用は月額で2,000円弱です。
でも、これは単に娯楽で見ているので経費にすることはできません。
プライベート用のクレジットカードから引き落とされるようにしています。
でも、もし、あなたの仕事が脚本家だったり特殊メイクの仕事だったり。
あるいは、VFXなど映像の仕事にしている、映画音楽などの作曲家やクリーエーター、プロ・レビュワーなど。
「研究のため」ということであれば100%経費にすることができます。
会計ソフトの仕訳項目でも「研究費」がありますしね。
ハムスターのエサも経費だぜ!
「ハムスターのエサが経費ってどういうこと!?」と思ったなら、今回の話はちょっぴりお得な情報になると思いますよ(^^)。
とある無名ユーチューバー。
ハムスターの動画をあげて広告収入を得ています。
そのような場合、ハムスターは100%商売道具です。(「道具」と言ってしまうとハムスターがかわいそうだけどね。)
ハムスターがいなければ商売が成り立たない。
このようなケースではハムスターに関わるすべての出費を経費にすることができます。
税務署が「それってペットじゃん。経費とか無理でしょう。」なんて言ったところで、
「いやいや、あんた、わかってないね。ハムスタは動画視聴者の「スター」なんだよ。ハムスターを使った商売なんだよ。マジシャンのハトとかと同じだよ。」
微妙と言えば微妙ですが・・・
担当者によって判断は分かれると思いますが、ハムスターにかかる費用なんて知れているので「あ、そうですか。」で済むのではないでしょうか。
ユーチューバーにあるようにハムスターが主役の場合もあれば企業のマスコット・キャラクターとして起用するパターンもあります。
「当社のマスコット・キャラクターの『ペッペロ・ハム二郎』です!」
そうなると自宅で飼育しているハムスターも立派な営業マウスになるわけです。
この場合は「主」ではないので100%の経費としてあげるのはちょっと厳しい。
5割~7割くらいで計上しておけば、まず大丈夫でしょう。
プリペイドカードは経費じゃねーぞ
「なーんだ、何買っても経費にできるじゃん。」
「今年は利益がたくさん出そうだから、クオカード100万円分買って節税しよう。」
ちょっと待った!
残念ながらプリペイドカードは、買っただけでは経費になりません。
プリペイドカードって現金じゃないですけど、一種のお金ですよね。
有価証券って言います。「お金の価値がある券」ということ。
つまり100万円分買っても、100万円の価値には変化がありません。
両替と同じことなんです。
出費にはなっていない。
でも、100万円分のクオカードを買って、お客さん100人に1万円ずつプレゼントした。
こんなときは、広告宣伝費などの経費とすることができます。
このような有価証券を買ったときは、「貯蔵品」という科目で仕訳けます。(参考:QUOカードや金券を確実に経費にする方法)
グレーな経費
とは言うものの、実際のビジネスや生活の場において、「これは仕事用」「これはプライベート」ときっちり分けられる人は、よほどきっちりしている人です。
一般的には、3泊4日で旅行に来たけど1日は仕事。
駐車場を借りているけど週に2日は仕事で使っている。
ゲーマーがうらやましがるようなハイスペックパソコンを買って、仕事もするけど、わりとずっとゲームをしている。
などなど、ほとんどの人は公私混同することになると思います。
そんなときは、100%経費にしてしまうことに罪悪感を感じるのなら、割引して経費算入すると良いです。
「仕事は半分くらいかな?」というときは50%、という感じで。
こじつけでもコレをすれば経費
どこかに書いてましたが、「会計士はある意味接客業。だから、接客を学ぶためレストランで食事をした1万円を経費にした。」
これだけだと、こじつけで無理がある。
でも、接客を学ぶため、つまり、研究のためなので、「食事をしたレストランの接客について目にして学んだことをレポートに書く。」
これなら立派な経費です。
ま、そこまでするような人はいないと思いますけど。
「税金を払う奴はバカ」でお馴染みの大村氏。(経営者必読の書!)
著書のなかで、税務調査官時代、ある事業主を脱税の疑いで追っていたそうです。
その事業主夫婦は毎年、何週間か海外に視察旅行に行っている。
「その旅行、プライベートじゃねーの?」という疑いです。
数百万の旅費交通費を経費としてあげていたのでしょう。
ところが、調べに調べても、その夫婦は「全日程の視察内容を詳細にレポートに記録していた。」とかいった話だったと思います。
さすがの国税調査官もお手上げだったとか。
いずれにせよ、仕事内容によっては、どんな出費も経費になり得るので、かしこく経費を使い、帳簿付けをしたいですね。
金額によってはしっかり備えること!
税務調査を気にする年商は、だいたい5000万くらいからでしょうか。
それ以下は、税務署もいちいち見ていないので、ぶっちゃけ好きホーダイできると思いますよ(経験上)
ただし、夜の飲食業など脱税が常態化している業界は、ちょくちょくチェックが入ります。
法人で「ある程度の年商で3、4期が過ぎたころに税務調査がやってくる。」というのが定番となっています。
ある程度の年商になってきたら「大きな経費」は、きっちり根拠を残すようにすることをおすすめします。
例えば、「キャバクラ代30万円」といった領収書。
「どこどこの会社の誰それさんの接待。」というふうに領収書に記入しておきます。
調査官は、1、2万円の経費などは目もくれませんから。
高額な経費だけ「しっかり備えよ。」ということです。