ECサイト運営者は、毎日、パソコン画面を見ながらキーボードを叩くのが仕事です。仕事として、しゃべらなければいけないのは、ごく一部の人でしょう。でも、ECサイト運営者でも、特に文章を担当している人は、読んで損はない本だと思います。
なぜなら、タイトルは「話す」技術ですが、これを「書く」技術に変えてしまっても、8割くらい、そのまま使えちゃうからです。
商品ページやランディングページを作るときには、キャッチコピーや文章はもちろん、レイアウトや導線、クリエイティブ(バナー)なども、じっくり考えて作り込んでいきます。それぞれに技術が必要ですが、本書では、書くときに、そのまま使える技術がいくつか紹介されています。3つほどピックアップします。
1.大和言葉(やまとことば)を使う
大和言葉とは、昔から日本語として使われいる言葉のこと。欧米から入ってきたカタカナの言葉や、中国から入ってきた漢語はできるだけ使わないということです。特に漢語の説明でなるほどと思ったのは、ひらがなにした時に、「わからなくなる」ことがあるという点です。
例えば、「効果」。文字にすると一瞬で理解できますが、話すときは「こうか」というと、「効果」「高価」「硬貨」「校歌」とたくさん意味が出てくるから、伝わりにくくなる原因になるわけです。
文章には関係なさそうですが、人によっては、文章を読む時、頭のなかで声を出して読む人もいますから、難しい漢語は避けたほうが良さそうです。
2.指示語に注意
「これ」「それ」「あれ」という指示語ですが、つい使ってしまいますよね。悪くはないんですが、多すぎると、「文章中の「それ」は何を指すか5文字で答えよ。」みたいな、『国語のテストのようです。』と。
たしかに。「これは」と書くとき、「直前に「これ」を指すことがあるから、読み手も当然わかっているだろう。」と思ってしまいますが、「わかっていない人もいるかも?」という視点は持っておきたいですね。
3.句読点の別の意味
句読点を打つことで文章をわかりやすくすることができます。句読点を「間」と考えたなら、「『間と』は相手を見る時間なのです。」と言うように、句読点を打つたびに、「読み手がどう思っているか?」と考えながら書く。そこまで、意識して書く必要がありそうです。
その他、役立つ技術盛りだくさんです。この本自体読みやすく、早い人なら30分ほどで読めそうです。でも、内容は、著者の15年間の経験から抽出されたエッセンスがぎっしり詰まっているので効きますよ。