簿記を学んだことがなかったので、経費が何かくらいはすぐにわかりましたが、貸借対照表の意味がずっと理解できない時期がありました。
ネットで調べるも本を読むも(すぐ眠くなる)わからない・・・
そんな「バカだったころの自分に説明するならこうだ。」というのが今回のテーマ。
個人事業主で青色申告の人なら避けて通れないのが、この貸借対照表です。
株式会社は「資本金」という言葉を使いますが、個人事業主の場合は「元入金」というちょっと特殊な言葉を使うこともあるので、「とっつきにくい」というのもあります。
え?なんでそんなに高いの!?
専門用語を並べるより、バカでもわかるように、たとえ話から入るのが一番早いですね。
サラリーマンヨシオさん。30代家族持ち。(誰でも良いんですけど)
自宅リビングのフローリングが傷んできたので業者に張替えを依頼しました。
自分で材料を調べたり張替え面積を計算していたら職人の日当を含めると15万円ほど済みそう。
でも、業者に依頼すると見積もり額は30万円と言われた。
え?
そこで業者はその金額の内訳を見せてくれました。
材料費:10万円(予想通り)
撤去費用:10万円(現在のフローリングが特殊なため特別な溶剤をつかうため)
階段オプション:10万円(3階建の3階で職人が体力を使うから)
合計:30万円
実際には「ない」ような話ですが、これを貸借対照表風にすると以下のようになります。
左が見積もりの金額。右がその内訳。
これが貸借対照表の意味のキホンです。
左と右、それぞれ30万でピッタリ合っていますが、当たり前ですよね。
左が35万円だと足し算を間違っているということになります。
左の金額の内訳が右に書いているわけですから、合わないはずがないのです。
すげー現金1億円!?
業者の見積もり例で十分理解できると思いますが、今度はちゃんと専門用語を使って解説。
ヨシオさんは現金1億円が印字された預金通帳を友人に見せた。
友人は当然「すげー」と驚きます。
でも、ヨシオさんの顔はひきつっている。
なぜなら、現金1億円の内訳は100%借金だからです。
次のような貸借対照表になります。
銀行口座の残高は、たしかに1億円。でも、その内訳は企業によってバラバラです。それを細かく表したのが右側の負債の部ということです。
ラッキーな個人事業主
個人事業主でも、「年商3億円で従業員は20人。自社工場に自社倉庫。銀行からの借り入れ5000万円。」というケースもあります。
そうなると貸借対照表も複雑になります。
でも、1人や数人規模の個人事業主の場合は、「貸借対照表の右側は左側の内訳である。」くらいを知っておくだけで確定申告は作れます。
左側(資産の部)に書くことは、せいぜい「現金がいくらある?」「口座残高は?」「商品在庫はどれくらいある?」くらいです。
めちゃくちゃシンプルなので、わざわざ簿記を1から勉強する必要なんて、さらさらないのです。
年商1200万円小売のケース
同じみ国税庁の確定申告作成サービスの画面から貸借対照表を学んでみましょう。
シンプルに次のような設定にしています。
・銀行口座:100万円(起業のための資金)
・年商:1200万円(年間販売の総額)
・経費等:900万円(仕入れや経費)
・最終利益:300万円
※青色申告申請済み
サンプル事業の場合、貸借対照表の入力画面は次のようになります。
図のA~Eの5箇所についてポイントを説明します。
まずAについて、貸借対照表は1月1日の時点(期首)と12月31日の時点(期末)の数字を入力します。
そしてEの部分、左と右の金額はぴったり一致している必要があります。合っていない場合は次の画面に進めません。
Bは100万円の元手で事業をスタートして、結果300万円の利益が出たので銀行残高は400万円になっています。
その利益の「内訳」はDの部分に自動で入っています。
そして、1月1日時点で、起業資金で用意した100万円は、右側の内訳「元入金」というところに入力します。
1年を通じて、追加で資金を投入しなかったので12月31日の時点でも変化がありません。
貸借対照表をシンプルに書くと次のようになります。
「負債の部」というマイナスなイメージの欄に、「利益」というプラスイメージが入っているので、どこか矛盾しているように思えて混乱しそうになります。
まとめ
おそらく、ウェブの確定申告作成書コーナーで、この貸借対照表の入力がうまくいかなくて先に進めず手書きに走る人は多いのではないかと思います。
結果、そもそも貸借対照表の意味を理解していないので、手書きで書いてみたところで完全に間違っている。
多くの人がそんな状況ではないでしょうか。
経費の入力などは簡単ですから、この貸借対照表さえクリアできれば自分で確定申告を全部こなせるようになると思います。