コロナ禍の「ネット通販好調」に便乗して?通販を始めようと動いた中小企業も多いですね。
例えば、住宅建材メーカーが「新規住宅の着工数も伸び悩んでいることだし、ここはひとつ、ネット通販でBtoC市場に参入してみようか。」なんてのは、コロナ渦関係なく、よくある話です。
が、しかし、そう簡単にコトは運びません。
まず、今までBtoB(企業対企業)のビジネスしか経験がないので、「一体どうやれば良いの?」となります。(BtoC企業はわりとスムーズ)
そして、周りやネットから情報を集めた結果、「よし、ホームページを作って販売しよう。(これ定番でしょ?)」という流れになります。
このあたりの経営判断から明暗が別れます。
御社の乗った電車はパダダイス行き?それとも地獄行き?ですか?(^o^)
典型的な失敗例あるある
まず、典型的な失敗例は、(これ、ほんと多いんですが・・・)、それなりの予算が立てられるので「ホームページ制作業者に依頼して作ってもらう。」という選択をしてしまう企業です。
「とりあえずホームページを公開したい。」という点では正しい選択ですが「売っていきたい。」と考えている場合は完全な間違いなんですよね。
ホームページを公開しただけで人が見てくれたり、商品が売れていたのは、太古の昔2000年頃までです。
それ以降は、いかに「人が見てくれるサイト」「買ってもらえるサイト」という作り方をしなければいけない。
制作業者がSEOやマーケティングを理解している場合は、まだましですが、「作るだけ」しかできない業者のほうが圧倒的に多いですから。。。
だいたいババを引く。
「作ってくれさえすればいい。完成したらそこで満足。それ以上望まない。」って場合は、そういった業者でもOKです。
でも、ネット上で商品を「告知していく(宣伝して販売)」のが目的の場合は「作る専門」の人や企業に相談しても無駄です。
料理のプロに「どうやってお客さんを集めたらいいですか?」「広告運用方法を教えてください。」「広告のデザイン教えてください。」と聞くようなものです。
予算を捻出できるなら、制作業者に依頼していきなり作ってもらうのではなく、まずは、コンサルタントに船頭になってもらうのが一番スムーズです。
ECコンサルタントは、ヒアリングし、依頼者(クライアント)のカルテから適切な進路を導き出します。
成功例
小売とは全く関係のない、職人を多く抱える製造メーカー(BtoB)の例です。
工業製品を作っていて一般の人には全く知られていないような企業です。
コンサルタントやデザイン会社が入ってマーケティングを進めました。
主に業務用だった素材を一般家庭の日用品に転用しようと製品開発をしました。
いろいろな小物を作って失敗作などもあったのですが、最終的にヒット商品が出ました。アマゾンでも人気商品になっています。我が家にもあります(笑)
失敗作はまじで売れませんでした・・・
成功の決め手は、「コンサルタントとデザイン会社を使った」という点。
製品を作るのは本業ですが、最大の難関は販路やマーケティングです。
ホームページを作れば売れるという時代ではないので、そこはコンサルの仕事です。
コンサルの仕事としては、コンセプトやブランドを決めて、どのように製品を世に広めていくか考えます。
これをマーケティングと言いますね。
当該メーカーは、小売の流通は持っていないので、まずは小売の流通を持っている問屋に話を持っていきます。
要するに、たくさんの小売店に商品を卸している問屋や代理店です。
この部分を自社でやろうと思ってもノウハウや人材もいないので不可能でしょう。
すぐ値崩れを起こすようなホームセンターなどでは販売せずに、大手雑貨店やセレクトショップなどの、ある程度こだわりを持って販売しているお店を中心に販路を拡大した結果。
大ヒットに至りました。
すぐじゃないですよ。4、5年くらいはかかっているでしょう。
コンサルタントは、少なくとも事業の計画としては2年~3年というスパンで計画したのだと思います。
今では、工業用製品を作っていたホゲラ工業(仮名)とは別に、ブランドの名前をそのまま会社名にした企業を設立してアマゾンで直売しています。
いろいろ苦労はあったと思いますが、典型的な成功パターンだと思います。
通販立ち上げの戦略
副業の小遣い稼ぎとか、自分一人が食っていくレベルでのネットショップを立ち上げる場合は、コンサルタンに頼むには至らないことが多い。
戦略がどうのって話なんて考えずに、手っ取り早く通販システムを借りて始めれば、それなりに結果は出せることが多いですね。
結果がゼロの場合もあるし、手応えを感じる場合もあるでしょう。
でも、企業としてコア事業や、ある程度当てにする事業化が目的がある場合は生半可なやり方では、今のEC業界では、右往左往するだけ。
製品を「作ること」はできてもマーケティングができなければ、成果は出せません。
マーケティングのプロはいますか?
戦略はSWOT分析などから入るのが普通です。
SはStrength(自社の強み)、WはWeakness(自社の弱みや課題)、OはOpporunity(市場のチャンス)、TはTreat(市場における敵や都合の悪い点)などです。
これらを分析したり考えたりしながら方向性を決めていきます。
実は、先の成功例の企業とまったく同じ用途の製品を発売した(住宅建材系)メーカーがありました。
二番煎じです。製品そのものは全然悪くないんですよね。
その二番煎じの商品も、アマゾンに出品されていますが、上記のヒット商品より5,000円も高く、かと言って差別化ができているわけでもなく強みがない・・・
つまり、消費者にしてみると、それを選ぶ理由がない。
同じくらいの品質なら、安い方を選びますよね。
おそらく新商品の開発や告知だけで300万以上はかかっていると思いますが、 この先どうなるやら。
当店とは関係のない業界の一企業ですが、好奇心を持って聞きまくっていたら、いろいろ勉強になりました。
「やはり差別化や強みがないと失敗するんだ。」ということを、自分で経験せず、他の企業がわざわざお金かけて証明してみせてくれるんですから、ありがたい話です。
売れるモノ売れないモノ
「個人でネット販売を始めたい。これを売りたい。」って人も後を絶ちません。
でも、その大半は「この商品売りたい。」という理由です。
ところで「その商品は売れるんですか?」と聞くと、「わからない。」「やってみないとわからない。」と言います。
そりゃそうですよね。
やってみないとわからない。
でも、ネット通販業界に20年以上もいると、商品を見ただけで売れるか売れないか、一瞬でわかります。
たまに、ビミョーなものもありますが。
売れるモノは売り方も同時にわかります。
どこの販売システムを使って、どのように広告を打ってマーケティングをしていくか、ということです。
でも、売れないモノと思ったものは3年考えても無理。
典型的な売れないモノは新商品。
どこかのだれかのアイデアで作られたような商品、あるいは海外から輸入した日本未発売の商品。
作った人や持ち込んだ人はオリジナルのアイデアなので自信満々です。
お金のある企業は、展示会に出したり広告を出したりして積極的にアピールしますが1年後には消えています。
「アイデアの斬新さ」と「売れるか売れない」は別。
多くの消費者は無難なモノが欲しいんですよね。
逆に売れるモノは実にシンプルで「売れているモノ」です。
売れている実績があるものは、売れやすいし売りやすい。
「海外で売れている。」なんてのはアテてになりませんよ。
文化も風土も地理も異なる海外と日本は単純に比較できませんから。
売れる商品を作るコツは、今売れているけど100満点出ない商品。
レビューなどを見ると消費者の不満点などが載っていますよね。
それを改善した商品は当たりやすいですね。
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