「ネットショップを始めたい。」
「ECサイト運営者として通販会社に就職したい。」
そんな方々へ贈るECサイト運営者は「すべてオンラインでスキルが身につけられる。」という話。
つまり、ECサイト運営は独学で、しかも0円で習得できることなのです。
ECサイト運営歴20年以上のオッサンがECサイト運営者を希望する人たちへ、できるだけわかりやすく解説してみました。
このページに関して質問があれば、どしどしお寄せください。
専門学校や書籍がない理由
ECサイト運営の専門学校やまともな書籍がないのは、いくつか本を買ったならわかるでしょう。
学校はカリキュラムを作らないといけない。
本の出版には何ヶ月もかかります。
その間にEC業界の事情はどんどん変化します。
本は一度出版してしまえば情報の差し替えが効かなくなります。
でも、ネットは常に新しい情報をアップデートすることができますし、写真や動画などいくらでも良い素材が転がっています。
なので、ECサイト運営者を目指すなら「すべてオンライン」で学ぶのがもっとも合理的なのです。
ネットは授業料タダの独学オンラインスクールです。
基礎知識を身につけよう
まったく違う業界に転職した場合、何の前知識もなければチンプンかんぷんです。
でも、多くの会社では、新人に対し業界やその会社の基礎的な知識や商流を理解するためのトレーニングが用意されています。
もちろん、ECショップでも未経験者を採用している企業ではちゃんとトレーニングがあります。
ただ、ECショップにとって「未経験者と経験者どちらが良いか?」というと、当然即戦力の経験者のほうが良いわけです。
だから、ネットでしっかり知識を身に着けておけば、ECショップで働いたことがなくても「即戦力」として採用される可能性も十分あるのです。
EC業界の知識は、用語集をおぼえるのはバカなやり方でECサイトをいじりながら覚えていくのがかしこいやり方です。
なぜなら、専門用語はたくさんありますが使う頻度がそれぞれ違うからです。
自分で訓練していくと頻出の用語によく出くわします。
そういった「テストに出る」系の頻出用語から押さえていくのです。
知識が増えるだけで業界の様子がよく見えるようになると思います。
さて、ここで業界用語テスト5問。
問1 F2転換率とは?
問2 カスタマージャーニーとは?
問3 スタイルシートとは?
問4 サジェスト機能とは?
問5 ラダリングとは?
難易度は高めです(^^)。
今知らなくても困りません。
システムを使いこなそう
ECサイト運営者の日々の業務はシステムのオペレーションが大半を占めます。
具体的には、受注管理や商品登録、顧客へのメール送信、また書品ページの作り込みなど。
EC企業各社が使う通販システムをオペレーションすることになります。
楽天ショップならRMS(店舗運営システム)、ヤフーショッピングなら「Yahoo! ストアークリエーターPro」。
Shopifyやショップサーブといった通販店舗の運営システムを使っているところも多いですね。
ただ、どこのシステムも大体似たようなものなので2~3種くらいのシステムに慣れておけば、どんなシステムも対応できるでしょう。
サイトづくりのノウハウを身につけよう
ECサイトは、デザイナーのホームページではないので「おしゃれ」や「かっこいい」はあまり必要じゃありません。
見やすく読みやすく、情報の伝わりやすい「買われやすい」ページである必要があります。
そのために「何をすべきか。」「何をやってはいけないか。」などがECサイトづくりのノウハウになってきます。
基本的に2ジャンルあると思ってください。
WEBサイトのデザイン
例えば、「商品写真には被写体以外余計なものを写さない。」とかモデルが着用しているシーンなど「使用感のわかる写真を用意する」とかなどです。
また、文字の感覚を読みやすく調整したり、文中に写真やイラストをバランスよく配置することで、ユーザーの使い勝手(ユーザービリティー)を向上させます。
配色などについても検討しながら、商材にあったテーマを選んだり使う色の数を決めたりなどがあります。
販売ページをデザインしていくうえで欠かせないのがバナーなどの各種クリエイティブ。
よほど大きな企業でない限り自社で作ることが多いです。
アドビのイラストレーターやフォトショップといったプロ用のパソコンソフトを使ったり、当店のようにcanvaといったオンラインで使える無料アプリを使っているところもあります。
イラストレーターが使えるようになるには、ある程度の練習が必要ですが、canvaなどは数分で使えてハイクオリティーなクリエイティブが作れるので個人使用としてもおすすめです。
日本語のやりなおし!
日本人相手のECサイトを運営する場合、日本語はとても重要になってきます。
なぜなら、不特定多数の人が理解できる日本語を書かないといけないからです。
悪い言い方をすると、バカでも理解できるような日本語を心がけないといけないのです。
例えば、次の一文。
此の商品の側面には楔形の装飾が施してあり早熟な大人の雰囲気を醸し出しています。
漢字だらけですね。
ふつうの大人でも「装飾」「施」「醸」が読めない人もいますから、「漢字をお忘れの人たち」のことも考えて日本語を組みた立てていく必要があります。
もっとも、「ターゲットが70歳代」なんて場合は、むしろ漢字が多いほうが読みやすい可能性もありますよね。
また、商品ページを見たユーザーが必ずしも商品知識があるとは限らないので、知識のないひとのために、わかりやすく別の用語で説明したり、注釈をつけたりします。
例をあげてみます。
オーディオ関係の商品の説明から一部を抜粋してみました。
(1)USBインターフェイスを搭載
(2)48Vファンタム電源装備
分かる人にはわかるのですが、オーディオ初心者がこれを見たら「???」ですよね。
そこで次のように注釈を付けます。
(1)USBインターフェイスを搭載(パソコンとの接続可)
(2)48Vファンタム電源装備(マイク用電源)
右側の()内は誰でも意味がわかると思います。
そして、さらに重要なのがキャッチコピーや説明文づくりです。
例えば、見出し。
単に商品名にするのではなく、見込み客が興味をそそるような言葉を使うなどして「まずは、ページを見てもらう」ために様々な工夫を凝らすのがECサイト運営者のお仕事。
なぜなら、今のショッピングユーザーは訪問したページを一瞬で「自分にとって必要かいなか。」を判断して「自分に関係なさそう。」と思った瞬間に離脱してしまいます。
商品名:ウクレレ UKLL-001
この商品を指名買いする人にはこれで良いのですが、「ウクレレ何が良いかな?」「ウクレレを始めたい。」と回遊している人には、まったく刺さらないし、どう選べば良いかもわからない。
そんなときのキャッチコピーです。
商品名:プロ絶賛の温かみのある音と弾きやすさ。まずはこれから。初心者向けウクレレ UKLL-001
このように「ウクレレ」は最後の最後に行っちゃいましたが、いろいろなECサイトを見ると商品名はこのように長いものになっていることに気づくでしょう。
楽天ショップなどは、とにかく何でもかんでも詰め込む品のないタイトルの付け方をしていることも多いですが、あれはあれでアリです。
(例)
【初心者7点セット!】EVISエビス・ULL001・マホガニー材・ソプラノウクレレ・美木目・確実検品!安心!【付属品:国内保証書・チューナー・教則本・コードチャート・ピック・ストラップ・ポリシングクロース・ソフトケース】(架空)
検索結果など見出しが魅力的でないと、その時点でお客さんを失うことになるのです。
魅力的なキャッチコピーや説明文を作るためには、つねに文章を読む習慣をつけることと、プロのコピーライターが書いた本などを「参考書」にすることです。
アマゾンの古本で数百円で入手できるもので十分です。
販売ページのスタイルを知ろう
商品ページのデザインをする上で、その企業がどんなスタイルを使っているか理解するのは、大切なポイントと言えます。
販売ページには、おおむね3タイプあります。
なお、「販売ページ1ページにつき1商品」です。
スタンダード系
文字通りスタンダードな商品ページの構成スタイル。
下記のようにシンプルな販売ページもあれば、先の楽天ショップのように、商品タイトルに「あれもこれも」とつっこむような下品さがなく、シンプルに「商品情報とかんたんな説明」以上。
そんなページもあります。
画像のようなシンプルな販売ページでもかまわない(売れる)のは、すでにブランドが確立されているショップなどです。
つまり、ユーザーの指名買いが前提のECショップに限ります。
楽天ショップのように、他店との激しい競争にさらされている場合は「あれもこれもキーワード」を突っ込むことで最大限の集客ができるようと狙います。
通常は、後者の楽天ショップ型のように、さまざなキーワードやキャッチコピーなどを使い販売ページを作り込んでいます。
ランディングページ系
ランディンページとは一言で言えば1ページで完結する販売ページのことです。
しかも、複数ページに渡る「販売サイトを作る」のではなく「販売するために1ページだけ作る」というのがランディングページの特徴です。
ランディングページの中身は、1ページに販売に必要な情報をすべて掲載します。
そのため1ページが異常に長いのが特徴です。
WEB広告からダイレクトに見込み客を呼び込み1ページだけで購入を完結してもらうしくみです。
通常の販売サイトでは、ユーザーはいろいろなページを見て検討するのとは対照的です。
ランディングページを作るのには、かなり高度なスキルが要求されます。
見出しでユーザーを引き込み、2番めの項目を読んでもらい、商品の品質になっとくしてもらい、販売者を信頼してもらい購入に導きます。
ランディングページの構成はあるていど決まっていますが、そのとおりやったからといって商品が売れるとは限らないところが、奥が深いところと言えます。
最初に目に入るアイキャッチの画像を差し替えるだけで売上が2倍になったり、販売目的のランディングページがいっこうに売れなかったので「無料資料請求」に目的を買えたとたんに請求が爆発したり。
販売する商品によってランディングページの作り方はかなり違ってきます。
販売ページに必要な項目
スタンダードな販売ページもランディングページも、入れるべきコンテンツ(内容)はある程度決まっています。
次の通り。
1.商品名
2.メイン商品写真
3.使用感のわかる商品写真や動画
4.説明文
5.スペック(サイズや大きさなどの記載)
6.お客様の声やレビュー
7.支払い方法や配送などの情報
8.関連商品やオススメ商品
9.SNSシェアボタン
10.販促用クーポン(ポップアップ)
11.カートボタン
12.お問合わせボタン
13.販売者情報
ショップによっては、チャット機能を付けていたり電話番号でお問い合わせを受けるところもあります。
企業によって商品ページに配置するコンテンツは微妙に違ってきます。
販売ページには、これだけたくさんのコンテンツを並べるわけですから、見やすいレイアウトで配置していかないと読むのが辛くなります。
そこでECサイト運営者として仕事の出番です。
メディアECをマスターしよう
今のECサイトの多くは、販売サイトだけでなくオウンドメディアと言って、情報を発信して広くユーザーを集めるやり方をとっています。
そのやり方のことを「メディアEC」と言います。
メディアEC=販売サイト+オウンドメディア
通常、当店の場合もそうですが、通販店舗運営システムのショップサーブで販売サイトを運用するかたわら、wordpressを使ってブログ上で様々なコンテンツを発信しします。
販売サイトだけのときよりも、はるかに集客量が増えるのが特徴と言えます。
また、「北欧、暮らしの道具店」などを見てもらうとわかりますが、1つのサイト内に処品販売ページはもちろん、ブログ記事があったり動画があったりと、サイトまるごとメディアになっています。
今のECサイトのスタイルの終着点がメディアECです。
今後はまた変化してくるとは思いますが、販売サイト+オウンドメディアが運営できるレベルになるとECサイト運営者としては上級レベルと言えると思います。
オウンドメディア運用のスキル
オウンド・メディアを運用するためには自社商品に対する深い理解と周辺知識が必須になってきます。
また、SEOもページ作成上のスキルも欠かせません。
かつ、論理的に文章が書ける。
これらの3つのスキルを深めていくことでオウンド・メディアの運用ができるようになります。
当店では私自身がメディアを運用していますが、正直そろそろ引退したいと思っているところです。
そんなときに「私はメディアを普通に運用できます。」なんて人材が入れば喜んで採用します。
残念ながら、そこまでの人材はなかなかいないものです。