新しいシャツを買うと、それに合わせて新しいパンツや靴なども欲しくなる。
家のトイレだけリフォームするとユニットバスやキッチンもきれいにしたくなる。
今までのモノより上位のモノを得てしまうと、その上位に合わせようとする心理がディドロ効果です。
ディドロ効果は300年前の残念感
今から200年も300年も前のフランスにドゥニ・ディドロさんという人がいました。
彼のポリシーが「もったいない」や「貧乏性」だったのか、洋服から本棚や時計まで、すべてボロボロでみすぼらしい状態だったそうな。
それを気の毒に思ったのか、あるとき、友人がディドロさんに新しい部屋着をプレゼントしたそうです。
ディドロさんは、それまで着ていたボロボロだけど、心地いい部屋着を捨てました。
そして、まっさらの服を着ていると、身の回りのボロボロのイスや本棚も気になって、結局全部買い換えたそうな。
そうすると、逆に居心地が悪くなってしまったと・・・
ディドロさんは、この話をエッセイに残していました。
その古いエッセイを読んだシカゴ大学の先生「グラント・マクラッケン」さんが、「ディドロ効果」と名付けたという流れです。
彗星なんかも、最初に見つけた人の名前が付きますよね。
あなたも、自分の残念を見つけて命名してみてはいかが?
ディドロ効果の事例
当店のECサイトでは、特定のメーカーが開発した製品がやたら売れます。
決してリピート商材ではないのですが、一度買うと、その良さに周りの旧商品も買い換えていくというお客さんが多いのです。
まさに、ディドロ効果です。
ただ、その製品はディドロ効果を狙って作ったわけではなく製品開発者が品質を追求していたら他社製品よりずっと高品質の製品になったのです。
その結果として、ディドロ効果が見られた。
つまり、リピーターが増えいるという流れです。
小売店が商品を開発するのは難しいですが、今扱っている商品より品質やデザインの優れた商品を取り入れることで旧商品を買ったお客さんに、より上位のものをおすすめすることもできます。
それが、リピート商材なら、ディドロ効果の元になったデゥニ・ディドロ(Denis Diderot)伯爵も浮かばれるでしょう。
ディドロ効果でちゃっかりついで買い
販売テクニックをウェブで実現している最先端の事例はアマゾンでしょう。
「この商品を買った人はこんなのも買ってるよ。」と表示している商品リストです。
レコメンド(おすすめ)機能と言います。
販売手法としてはクロス・セルと言うものですが、買ってしまう心理のひとつとしてもディドロ効果が見られそうです。
例えば、カメラに詳しくないのに、カメラを買おうとしたとき、「そのカメラを買う人は、これとこれを当然のように買いますよ。」と見せられてしまうと、「もし、今、それ(おすすめ品)を買わなかったら、結果として後で買うことになるかもしれない。」と考える心理です。
揃えたくなる心理を先につぶすパターンです。
「ディドロ効果先回り法」なんて名前が付けられそうです。
そういったポイントでもレコメンド訴求できます。
「高級車に載っているのにいつも作業服。家も小さくてボロい。」そんな人がいるように、必ずしもすべての人が水準の高いところに合わそうという心理になるとは限らないようです。
まあ、揃えたくても、車にお金を使って、貯金がないのかもしれませんが。
また、仕事のできる人と付き合い始めると「仕事のできない人」とは疎遠になることってありますよね。
ディドロ効果は、モノ以外、人間関係でも猛威を振るっているかもしれません。
ディドロ効果で売上げアップ!
さて、ディドロ効果については、だいたいのところは把握できましたよね。
では、自分のビジネスに応用して売上アップやリピーターの獲得につなげましょう。
上の事例でも書いたように、「今まである商品より、ちょっと品質を良い。」商品を手にすることで、現在の商品がみすぼらしくダサく感じてしまいます。
結果、どんどん新しいものを買い替えて揃えたくなります。
「既存他社商品より品質を良くする」という手法は、企業に関わらず、ビジネスの現場ではよく行われているマーケティング・テクニックと言えます。
また、シリーズ化してしまうことで「全部買わないと気がすまない。」「全部そろえたくなる。」そんな商品を開発するもの売上アップに効果的です。
シリーズ化は、リピーター対策としてもポピュラーですね。
ワンピースや大河ドラマなど、マンガやテレビドラマは次が気になるツァイガルニク効果(ツァイガルニク効果でマーケティング)はもちろん、揃えたくなるディドロ効果も巧みに使われています。