heuristicとは「発見を助ける」という意味の英語。
心理学では、人は何かを探すときなどに発見の助けとなるようなポイントをいくつかに絞って探します。
昔流行った「ウォーリーを探せ」でウォーリーを探すときの思考がヒューリスティックです。
何百人と描かれている色々なキャラクターの中からウォーリーを探すときに、「丸メガネ」「帽子」「ステッキ」など、ウォーリーの特徴をいくつかに絞って探します。
もし、ひとつひとつのキャラクターを確認しながら探すとなると膨大な時間がかかります。
そこで、脳は、特徴的なシンボルいくつかを条件に簡易検索しようとするのがヒューリスティックです。
企業マーケティングの事例
スーパーへ行くと、このヒューリスティックを応用した商品を多く見かけることができます。
というわけで、ちょっと近くのスーパーで写メしてきました。
左からお茶はグリーン(ピンクなど向いてない)、ビスコには子供の顔が載っているため子供用」と一瞬にしてイメージします。
3番めは外国のお菓子だったと思いますが、カラフル過ぎて不健康そうに見えます。
日本ではこのデザインは受けなさそうですが。
トムヤムクンはタイ料理。タイっぽいフォントが使われていて、エスニックな味がしそうな気がします。
「それっぽいデザイン」にすることで、探している人は、いち早く目当ての商品を見つけることができます。
もし言葉のわからない外国で
日本国内でペットボトルとして売られているお茶は、おおむね緑色を基調にしています。
もし、言葉のわからない外国に言ってスーパー(グロッサリーストア)などで、日本のお茶を探した時、ピンク色のペットボトルにJapanese Green Teaと書いてあっても、なかなか発見できないでしょう。
これは、日本のペットボトルのお茶のパッケージが緑色を基調にしている以前に、日本人として経験的に「お茶は緑色」ということを認識しているのが原因です。
ヒューリスティックは「早く発見するための手助けとなる方法」ではありますが、必ずしも正解にたどり着けるとは限らないということですね。
ネットショップへの応用
ネット販売の場合は、スーパーのように商品やパッケージを手にとって見てもらえない代わりに、商品写真やキャッチコピー、説明文、バナーなどで、ヒューリスティックをヒントにしていくことになります。
基本的には、市販のパッケージデザインを同じような手法を使います。
例えば、フォントやカラーです。
フォントとは文字のデザインのことです。
下の3種類の「ポップ」は、書いている内容は同じですがフォントが異なります。
フォント毎に受ける印象が違うと思います。
くだけた印象を持つフォントから、厳格なイメージを持つようなフォント。
また、3Dや手書き風のフォントなどいろいろああります。
バナー作成や商品写真への文字を挿入するときは、お客さんにどのようなイメージを持ってもらいたいかということを起点に、使うフォントやカラーなどを選びます。
高級感を演出したい場合は、高級ぽいフォントやカラーを使い、安さをアピールする場合は、お手頃なイメージのフォントやカラーを使います。
クリスマスをイメージしたバナー(ショップサーブ素材より)です。ぱっと見てクリスマスの雰囲気を感じられるよう、うまく作られています。
こちらのバナー(ショップサーブ素材より)も赤や黄色、ゴールドで、セールのお祭りっぽさがうまく演出されています。
一転、こちのバナー(ショップサーブ素材より)は、お世話になっている人に感謝を込めて贈るための商品選びなので、セールのお祭り感や賑わい感は控えめになっています。
こういった場合のフォントは明朝体が向いています。
バナーを作るとき、色から連想するイメージの感覚の持ち主なら苦労はしないのですが、普段はそんなことを考えていないと、色の選択も迷います。
そんなときに役立つのが色やデザインの情報を専門に発信しているサイトです。
探してみればいくつか出てきますので参考にしてみてください。
ヒューリスティック(文字の事例)
日本人を相手にモノやサービスを販売するなら、ヒューリスティックはいろいろなシーンで使うことができるでしょう。
日本人としての経験則から「このように考え」「このように推測するだろう。」ということは、日本人なら誰でもできると思います。
これが外国人相手だと通じなくなることが多くなる点は注意が必要だと思います。
特にこれから日本が観光立国になっていくことを考慮すると、日本人としての経験則だけに頼っていては、自社のマーケットの拡大は厳しくなるでしょう。
さて、上記の商品パッケージの事例とも被りますが、「言葉」についてもヒューリスティックが働いていることがよくあります。
例えば、「京」という感じ。
「けい」と読んで「一兆を一万倍して得る数」の意味も指しますが、誰もが「京都」をイメージするのではないでしょうか。
「京◯◯」とパッケージにかかれていると京都の商品かと勘違いしてしまい「なんとなく良さそう」と思ってしまいます。
また、丸亀製麺などは神戸発祥の企業にもかかわらず、「うどん県から来たお店」のように勘違いしてしまいます。
もしそれが「男鹿製麺」とかであれば、うどん屋なのかそば屋なのか、ラーメン屋なのか、はたまた、業務用の製麺卸しかもしれない。
まさに、文字を使って客の心理を操作している一例と言えます。
個人的には「京」とは、ほとんど関係がないのに「京」を使っていたり、いかにも沖縄の商品かのように「沖縄」の文字を大きく書いていたり、そういった企業の製品には若干悪意を感じますが、程度の問題で、「ほどほど」であればアリかな、とは思います。