片面提示とは「良いことばっかり言う」
両面提示とは、良いことも言うけど、合わせて、悪いこと(デメリット)も言う。
「儲かるんですよ。リスクはないんです。元本も保証されてますし。」とひたすらメリットばかりゴリ押しされても、説得力がなく、普通の人なら信用しないどころか「怪しい。」と感じてしまいます。
そこで、「儲かる確率は100%ではないけど、経済情勢によってもしかすると元本を割ることがあるかもしれません。でも、銀行い預けるよりはマシだと思います。」というふうに、ちょっとデメリットを入れるほうが信用されやすいし、説得もしやすくなります。
当然、ビジネスの現場では片面提示だけよりも両面提示のほうが売れやすいので、ぜひ取り入れてみましょう。
メリットとデメリットのバランスが大事
とは言うものの、両面提示なら何でもいいかというとそうじゃない。
バランスが命です。
お客さんもデメリットのほうがデカいと感じれば買わないですからね。
例えば、「シミやニキビは翌日には消えてつるつるのお肌になるんです。」と言えば、お客さんには単純に「すごい。」と思います。
でも、「そんな薬聞いたことがないので、危ないかも?体に悪いかも」と警戒するかもしれません。
そこで、デメリットの提示。
「よく効く変わりに法律スレスレの劇薬が入っていて、正直身体には良くなくて、使った人は別の病気を発症しますね。」と言えば、メリットを吹き飛ばしてしまいますよね。
そうじゃなく、「ただ、若干強い成分を使っているので、「塗るのは2日に1回」を守ってください。それ以上使ってしまうと逆に肌荒れします。使う量と頻度が決め手です。」などと言えば、お客さんも安心します。
このように、特にメリットの割合を100に対して120のデメリットを提示すると、商品自体価値がないと言っているのと同じことになります。
デメリットは、モノによりけりですが、イメージ値で5%~30%くらいに抑えるのが、うまい売り方かもしれません。
街で見かけた片面表示
スーパーに買い物にでかけたときのこと。
レモンを買おうと果物コーナーに立ち寄ったところ「国産のレモン」と「トルコ産のレモン」の2種類が置いてありました。
国産のレモンが小ぶりで250円、トルコ産が98円なので値段はメリットです。
でも、この表示で、「何かやばそうな薬品が使われている。」というのがデメリットということがわかります。
人にもよると思いますが、個人的には「ちょっと怖い」と思って買うことはありませんでした。
輸入の果物には防カビ剤(防ばい剤)が使われて、添加物として表示する義務(食品衛生法)があるので、スーパーもこのように表示しているわけです。
そこで、トルコ産のレモン、粒は国産の2~3倍もありそうだったの「安いのに1個で果汁がたっぷりとれます。」とか「防ばい剤は、水洗いや塩もみ洗でほとんど取れます。心配な場合は重曹やお酢を溶かした水に1分漬けてください。」とかあれば、デメリットから受ける悪印象もだいぶ軽減できます。
両面提示にはなっているものの、デメリットの片面が大きすぎて、売れゆきが悪くなるパターンです。
マネてはいけない売り方
ただ、今回の場所は普通のスーパー。
数千点、数万点の商品を扱っているので、社員さんも「いちいち、ひとつひとつ、売り方なんか考えて、ポップや値札なんか作ってられねー。(ただでさえしんどいのに)」というのが正直なところでしょう。
だから、売り方に関しては余り参考にならないですね。
でも、これがちょっと良いものを売っているスーパー(スーパーに限らないが)だと、わりと、1アイテムごとに、ちゃんと考えられたコメントなりがつけられて売られています。
あと、テレビでやっていましたが、どこかのスーパーは安売りがメインですが「安い理由」を正直に表示して人気を博している、ってことおありました。
これも「片面提示(「安いというだけ」)のメリットだけではなく、なぜ安いのか?についてのもう片面の提示がちゃんとなされているからこそ、お客さんに指示をされるのでしょう。
このように、普段街なかを歩くと、片面提示、両面提示、あるいは、両面提示のバランスのいい表現、バランスの崩れた表現などをたくさんみることができるので、楽しいと思いますよ。
提示の順番も大事
「坂田さんちの娘さん、高学歴で美人だけど性格が悪いんですよね。」
と言う場合と、
「坂田さんちの娘さん、ちょっと性格はきついけど高学歴で美人なんですよね。」
と言う場合、
後者のほうが印象が良くなると思います。
これも心理学にあって、「ネガティブなことを先に言ってポジティブを後にもってきたほうが印象が良くなる。」というのがあります。
上司に呼び出されて叱られる。しょぼん。でも、最後に「でも、入社して5年もよく頑張ってるよね。今後も期待しているよ。」なんて締めくくられれば、後味は良くなります。
両面提示も同じで、営業マンならお客さんにしゃべるときは「デメリット」→「メリット」の順で喋る。
当社(Shopify)のように通販をやっているような場合、説明文の中にさらりとデメリットを埋め込んで、最後はポジティブなメリットで締めくくる。」というのが両面提示のスタンダードな使い方だと言えます。
森もチェック
「木を見て森を見ず。」と言う言葉があります。
眼の前のことしか目に入らず全体が見えていない例えです。
販売心理学を応用する場合、そのテクニックだけ見ていても、効果がまったくない場合もあります。
例えば、そもそも販売サイトなどが「怪しい。」、「会社が悪名高い。」といった全体の前提があれば、いくらテクニックを駆使しても、お客さんを説得するのは難しくなるのはわかると思います。
世の中に(イメージ的)嫌われている企業や団体というのがあります。
N*KやSoftb*nk、JASR*C、などはその最たるものでしょう。
先日ニュースでみましたが「老人に無理やり着物を買わせていた店」が国から指導を受けていました。
そういった企業や団体に属している人は、そもそも大きなデメリットを背中に背負ってるので、いくら口で良いことを言っても信用されない、説得されないという悲しい現実もあります。
森も見ながらバランスよく。