起業アイデアを出すために必須のフレームワークを紹介します。
フレームワークとは、何かを考えるときにものさしのようなものです。
例えば、「旅行に行きたい!」というとき何を基準に考えるでしょうか?
おそらく次のようなチェックリストに答えていくのではないでしょうか?
- いつ?
- どこに?
- 何泊で?
- 誰と?
- どんな手段で?
- 予算は?
これが旅行に行きたい時のフレームワークです。
ただ、「旅行のためのフレームワーク」などとわざわざ言わなくても、みんな普通にやっていることですよね。
でも、起業アイデアとなると、みなさんどうやって考えたらよいかわからなくなる。
そんなときに指針になる強力なフレームワークがオズボーンのチェックリストなのです。
大手企業はもちろん、個人の起業家でも知っている人は普通に使っているフレームワークです。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストとは、簡単に言えば「アイデアを出すための公式」です。
「この商品をもっと売りたいな。」と思ったとき、どのような売り方をすれば言いか考えますよね。
何も知識のない人なら、おそらく「安くしよう。」くらいしか思いつきません。
でも、オズボーンのチェックリストを知っていると、もっとたくさんのアイデアを入手することができます。
オズボーンのチェックリストは以下のとおり9項目あります。
- 1.他に使い道はないか?(転用)
- 2.他からアイデアを借りられないか?(応用)
- 3.変えてみたらどうか?(変更)
- 4.大きくしてみたらどうか?(拡大)
- 5.小さくしてみたらどうか?(縮小)
- 6.他のモノで代用できないか?(代用)
- 7.入れ替えてみたらどうか?(再利用)
- 8.逆にしてみたらどうか?(逆転)
- 9.組み合わせてみたらどうか?(結合)
これらの公式にいろいろな事例を放り込んで考えてみるのです。
もっとも、公式だけを知っていても、そこに当てはめる事例や知識がないとどうしようもないので、できるだけ多くの販売テクニックや事例にあたることが大切です。
とにかく多くの事例や知識を!
「豆乳クッキー」を聞いたことがあると思いますが、もともとクッキーはお菓子ですから食べ過ぎると太ってしまうというマイナス面がありました。
でも、豆乳をつかうとカロリー抑え健康的なお菓子に変わってしまいました。その結果大人気となりました。
豆乳クッキーを初めて作った人が誰かもわかりませんし、オズボーンのチェックリストを使ったかどうかもわかりませんが、これは既存の知識を「9.組み合わせ」た事例と言えます。
ただ、クッキーを知っていても、豆乳を知らなければ、このアイデアは出てきません。
そういった意味で、できるだけたくさんの知識や事例を学ぶことが大切です。
いつでも、ウェブ検索や書籍、新聞、雑誌など、何でも目を通してみる習慣をつけておくと良いです。
事例の探し方のヒント
ネットには膨大な情報があるはずですが、「オズボーンのチェックリストを使った成功事例」という情報一覧はありません。
また、その成功がオズボーンを使ったかどうかも不明なので、そこにはこだわらず、「これまでなかったアイデアが生まれた例」を調べるなどすると良いです。
わりとまとまった情報が載っているのがこちらです。
オズボーンのチェックリストを使ってアイデアを自動的・強制的に出す方法
「ポスト・イット」や「ジャイアントポッキー」など、一通り有名な事例が載っています。
ただ、多くが製品のアイデア事例です。
製造メーカーなら、そういった事例も参考になりますが、私達は既製品の販売が仕事なので、販売方法について考える必要があります。
また、この種のネット情報は、誰かが作った情報をコピペして作られたモノが多いので、内容の多くがかぶっていることに気づくと思います。
事例は意外に多そうで、少ないのがちょっと残念です。そこで、役に立つのが紙媒体の書籍です。
アマゾンで色々検索しながら事例が載ってそうな本を探して読みます。
例えば、1冊オススメを上げるとすると「一行バカ売れ(川上徹也著)」です。コピーライターの著者の経験を含め、様々な参考書籍からオイシイところだけを抜粋して、キャッチコピーの切り口でヒットした商品や販売方法を紹介してくれています。
キャッチコピーの勉強にもなるし、事例のストックにも役立ちます。
お気に入りの一例を紹介します。ご存知ジャパネットタカタです。
「ビジネスマン御用達のボイスレコーダーを、仕事に出たお母さんが、子供に伝言を残すための道具として販売したところバカ売れした。」というものです。
オズボーンのチェックリストで言う、「1.他に使い道はないか?」や、「3.変えてみたらどうか?(ターゲットを変えたとも取れる)」などが該当すると思います。もっとも、タカタ社長がチェックリストを使ったかどうかは不明ですが。
事例集
「それ」の開発が、必ずしも、オズボーンのチェックリストを元にしているとは限りませんが、結果的に、チェックリストのいずれかに該当している事例を集めてみました。
中には、「それはちょっと違うのでは?」とか、「ヒットしてないし」的なものも含まれますが、そこはご愛嬌で。
他に使い道はないか?(転用)
・通常品として販売できない商品を「訳あり」や「アウトレット」として販売
・すぐ剥がれてしまうという接着剤として開発した失敗作がポストイット(はがせるメモ)になった。
・ロック・クライミングのチョークバッグがファッション小物として大ヒット。
・大工の道具入れを文房具のペンケースにした(これはもう見ない→売れなかった?)
・古民家をカフェやレストランとして再生
・食品保管用のガラス製フタ付き瓶がお店のドリンク用グラス(メイソンジャー)としてブームに。
・元々は金物屋さんが販売するステンレス製丸リングが抱っこひも(ベビースリング)の部品になってヒット。
・ユーズドの軍用テントやヨットの帆、最近では、熊本地震で大量にあまったブルーシートを素材としてバッグなど製作された。
・料理用の素材だった重曹が掃除や消臭剤として使われるようになった。
・食品サンプルのミニチュアがキーホルダーやストラップになった。
・血圧を下げるための薬が結果的に育毛剤に(リアップ)
・遊んでいる土地を一時的なテナントとして貸し出すビジネスが生まれた(軒先.com)
・空き家をゲストハウスとして転用できるマッチングサイトAirbnbは世界的に大成功を収めている。
・ビジネスマン御用達のボイスレコーダーをママ用に販売して大ヒット(ジャパネットタカタ)
・ダンボールを使ったスピーカーや家具、壁など。
・建設現場などで使われるガス管や足場板、塩ビ管などを家具の骨組みに転用
・ゴミだったワイン箱やコーヒーの麻袋が雑貨として販売されるようになった。
・泥パックを始め各種自然素材を転用した化粧品
他からアイデアを借りれないか?(応用)
・フランス料理に立ち飲みスタイルを取り入れて成功した俺のフレンチ。
・手帳のデザインを応用したスマホケースが大ヒット。
・投資と言えば株式や外国為替が主流だったが、不動産の分野で、物件を所有するのではなく、投資するという仕組みができた(2001年~J-REIT(ジェイ・リート))。
・フリーマーケットの仕組みをアプリで提供して大成功(メルカリ)。
・スターバックスやタリーズなどのカフェで勉強する人をヒントに、その名も「勉強カフェ(大阪)」が生まれた。
・タブーなイメージの口パク(エア演奏)をあえてメインにした「ゴールデンボンバー」がブレイク
・家具、着物、家電など「購入」が当たり前だったところに「レンタル」を応用したビジネス。おっさんレンタルなども話題に。
・一般人がまるでTVタレントや芸人のように、画面の前で喋ったり動いたりするユーチューバー。
・人間用の応用であるケーキやおやつ、衣類などのペット用はすでに巨大マーケット
・ペットの葬儀なども、人間用をペットに応用した典型例。
・「使い捨て」という考えのなかったところに「使い捨て」コンタクト。(使い捨て花嫁などの組み合わせもおもしろいw)
・カフェやコーヒースタンド、コンビニのコロッケや肉まん、おでんなど、「テイクアウト」という概念の応用
・形状記憶合金は衣類をはじめ、メガネフレームなど、生活シーンにおいて様々な製品に応用されている。
・布団圧縮袋は食品などに使われる真空パックの原理と同じ(空気抜けるけど)
・業務用洗濯機の主流であったドラム式を家庭用に応用(業務用を家庭用に応用できないか)
・ベビーギフトである「おむつ」でケーキを模った「おむつケーキ」が大ヒット
変えてみたらどうか?(変更)
・値段そのままで、中身の数や量を減らすことで実質値上げをした。(スライスチーズ、ピザの生地を薄くしたピザ宅配チェーン等)
・ネット販売をリアル販売に変更したところ売り上げ急上昇(その逆も)
・パッケージデザインやネーミングを変更することで急激に売れだす事例などは多数(洋梨の「ラ・フランス」「通勤快速」「お~い、お茶」「鼻セレブ」など。最新のネーミング強化書に事例多数。)
・機能性だけの長靴にデザイン中心に変更することでファッション性を高めヒット
・家電店で販売される延長コードを、かわいいデザインに変更し雑貨店などで販売
・イヤホンや掃除機のコードをなくしワイヤレスタイプに変更
大きくしてみたらどうか?(拡大)
・ポッキーのジャイアントサイズがヒット商品になった。
・1回ぽっきりの販売ではなく、回数券やボトルキープ、年パスを販売することで客単価がアップ。
・ラーメン好きには有名な二郎系。普通のラーメンの2倍も3倍ものボリュームがウケている理由のひとつになっている。
・洗剤や柔軟剤、食料品も「大容量」がウケている
・ICカードで通過する際にかかる処理時間を自動改札機を長くすることで解決できた。
小さくしてみたらどうか?(縮小)
・家具や雑貨からカップラーメンやドーナツまで、ミニチュアにすることで新たな需要を開拓
・パソコンを究極まで小さくしたiPhoneはご存知のとおり。
・車と言えば4人乗りが定番のところ、超小型EVは1人乗り自動車を実現。
・「数量を減らす(取り除く)」と解釈すると「余計なものを入れていない」「無添加」「無香料」などの考え。
・スーパーファミコンが27年ぶりに、見た目そのままで手のひらサイズに縮小されて復活。結果、バカ売れ(売れたのは「小さくしたから」という理由だけではないけど)。
他のモノで代用できないか?(代用)
・タバコの代わりとして、古くは禁煙パイポ、最近ではアイコスや電子タバコ(VAPE)など。
・低カロリーのこんにゃく麺(まずいけど)
・麦以外の材料を使ったり、麦芽の比率を25%以下におさたりしてできた発泡酒(ビールは50%以上)
・それまで鉄だった自転車のフレームに、アルミやカーボンなどを代用し軽量化
・紙媒体だった書籍の電子化
入れ替えてみたらどうか?(再編成・再利用)
・「借金」を「キャッシング」を言い換えてネガティブイメージを消した
・梱包方法を見直すことで、小型化、梱包の時間短縮につながった。
・オフィスのデスクや書棚、コピー機などの配置を替えることで業務が効率化された。
・組織変更や人事異動でマンネリ化を防ぎ社員の成長や会社の利益を高める。
・ランディングページのA/Bテスト
・バナーや商品写真を入れ替えてみたところ売り上げアップ。
・商品一覧の配置を入れ替えてみるたところ、売れなかった商品が売れるようになった。
逆にしてみたらどうか?(逆転)
・逆に閉じる傘がヒット?
・ジューサー(絞り器)を置くのではなく、手に持って回すタイプにした商品を開発(フィンランド雑貨メーカーmagisso)
・本命チョコマーケットへの参戦はせず、義理チョコに照準を合わせて話題になったサンダー
・注文を「間違える」レストランが大人気
・逆さまの蛇口がInstagramで話題になった(株式会社カクダイ)
・カリフォルニアロール(海苔が外側ではなく内側にした)
・まず仕入れて売る。「開業は開業届けから」という教科書の順番とは逆でネット販売で成功。
組み合わせてみたらどうか?(結合)
・「居酒屋」と「婚活」がくっついた相席屋が大人気。
・Bar+「ダーツ」、「スポーツ」、「競馬」、「アニメ」、「ゲーム」など。
・女の子のレベルが高い高級クラブと、リーズナブルで気軽に立ち寄れるキャバクラが結合したニュークラブが人気
・女の子アイドルとヘビーメタルを結合したベイビーメタルが世界的に大ブレイクした。
・急須とマグカップが結合した商品(フィンランド雑貨メーカーmagisso)
・古くは、鉛筆の芯の反対側に消しゴムがくっついてヒット
・エグザイルがプロデュースしたカフェ「AMAZING COFFEE(2016年オープン)」が大人気。「有名(人)+飲食店や各種事業」は昔からあるヒットの公式。(=コラボ)
・電話+ネット端末→スマホ
・プリンター複合機
・ウォシュレット
・くちびるの荒れ防止のリップクリームと口紅が結合した色付きリップクリーム
・塩コショウ
・リンスインシャンプー
・歯ブラシに歯磨き粉があらかじめついているやつ(もう見ない?)
・浴室乾燥機
・手洗いだけの洗面所に「朝シャン(朝に洗面所でシャンプー)」という結合のアイデアを文化にした大阪ガス(確か)。
・自動車の自動運転は、自動車とインターネットやAIの結合。
・ロボット掃除機
・豆を引くところからドリップするまですべての工程が結合したコーヒーメーカー