ネーミングの基本をシェアします。
店名はや社名に始まり商品名やサービス名に至るまで。
ちゃんと「考えて」ネーミング「するか?しないか?」で生死が分かれるほどネーミングはマーケティング上、またセールス現場においてマストな仕事です。
にもかかわらず、そこを軽視しているのは、おそらく「名前を変えたくらいで。」という思い込みがあるのだと思います。
とんでもない。
ネーミングのパワーを知っていれ、全力でネーミングに取り組むはずです。
はっきり言って、ネーミング次第で売上は全然変わります。
特に、オリジナル商品などを企画している企業の場合、製品のクオリティーも重要ですが、それ以上にネーミングが売れ行きを左右します。
なお、ネーミングを始める前の前提として、販売心理学のポピュラーなテクニックは一通り知っておくと良いと思います。
大爆発したネーミング有名事例
あまりにも有名なので知らない人はいないと思いますが、ラ・フランスという洋梨。
もとは、「みだぐなす」という山形弁で「見た目が悪い梨」という名前だったものを、「ラ・フランス」とリ・ネーミングすることで爆発的に売れました。
また、スーパーの果物売り場でおなじみのバナナの「甘熟王」。
通常、果物と言えば「オレンジ(スペイン産)」とか「キウイ(ニュージーランド産)」と言った表記が一般的です。
でも、そこにフィリピン産の普通のバナナに「甘熟王」とネーミングすることで爆発的に売れました。
しかも、発売開始の2006年から10年以上経った今でも、当たり前のように売れているヒット商品です。
これが「フィリピン産バナナ」だけだと、「台湾産バナナ」などと競争をしながら、それなりに売れていたかもしれませんが、ここまでブランドを確立することはなかったでしょう。
コンビニやスーパーでもおなじみのペットボトルのお茶「十六茶」。
これも、ネーミングでヒットした例と言えるでしょう
単に「緑茶」や「烏龍茶」というお茶の常識を覆す印象ネーミングと言えます。
販売はアサヒ飲料。
さすが大手。
商品名にインパクトがありすぎる小林製薬を含め、大手企業ではネーミングをおろそかにすることをなく、社内で議論を重ねたりプロのコピーライターに手伝ってもらったりしながら、お金や時間をかけて売れるネーミングを考えています。
モノが売れる理由から逆算する
モノ、あるいは、サービスってなぜ売れるか知っていますか?
答えは簡単です。
「良さそうに見える。」
「良さそうに思える。」
です。
だから欲しくなる。
女の子のこんな声聞いた事ありませんか。
「いやぁ~~ん。おいしそぉ~ん(*´ω`*)」
ケーキ屋さんのショーケースに並んでいるケーキを見て、食べたこともないケーキを「見ておいそう」って言うわけです。
そして買うわけです。
インスタなどは、まさに「おいしそう」の巣窟【そうくつ】です。
情報発信側は映える【ばえる】写真をどんどん掲載して、若い女性などをターゲットに「おいしそう」「たのしそう」「おもしろそう」などを発信してごっそり集客しています。
世の中、すべての商品やサービスが売れる根本はここにあります。
消費者が「良さそう。」と思わない限り売れません。
自分が思う良いネーミングはターゲットの感情とはズレていることが多々あるので、ネーミングをするときは「独りよがりになっていないか?」「ターゲットのベネフィットとマッチしているか?」などをチェックすると良いでしょう。
ケーキの場合は商品名よりも見た目ですが見た目で「良さそう感」が出せない場合は、ネーミングやキャッチ説明でキメるしかないですね。
よって、売れるネーミングの鉄則は次の通り。
「それ」を見たり読んだりしたお客さん(見込み客)が「良さそう」と思ってもらえるような届く・刺さる言葉を使って脳内イメージを操作する!
ベネフィット直撃型で攻める
「ベネフィット」という言葉をご存知でしょうか?
ビジネスをやっている人なら九九レベルの初歩的な考え方。
benefitの日本語訳は「利益、ためになること」などと曖昧な感じですが、ビジネス上で言う「ベネフィット」は、はっきりとしています。
それは、商品を使った後の結果です。
商品を使うことで変わるあなたの現実と行っても良いでしょう。
「この香水をつけると若い女性がよってくる!」
香水の香りや値段などには一切触れず香水をつける男どもに刺さるベネフィット表現の例です。
ドリルを売るには穴を売れにあるように、「人はドリルがほしいわけじゃない。穴を開けたいからドリルを買うんだ。」ということです。
化粧品を買う女性はきれいになりたからじゃない。
モテたいから!←(これがベネフィット)。
消費行動の最終地点をイメージすることが大事ですね。
つまり、「その商品を買うお客さんが最終的に満たしたい欲望」に焦点を当てるのがコツと言えるでしょう。
そう考えると、単に機能性やデザインを謳ったような商品名やサービス名が、いかに意味がないかというのがわかると思います。
ベネフィット直撃型のネーミングとしては小林製薬がダントツですね。
見込み客のどのようにイメージしてもらうか
当店では、メーカーが付けた売れない商品名を勝手に変えて売るという手法をとっています。
もちろん、メーカーさんからは許可を得ている場合もありますし、逆に勝手にネーミングした商品名をメーカーさんが採用することもよくあります。
いちいち許可をとるとか面倒なことをしない業界です。
そこで使うテクニックは、びっくりするような商品名とか斬新な商品名とか、そういうものは一切ありません。
もはや小林製薬のネーミングテクニックをそのままに商品名を考えています。
商品名を見たお客さんが頭の中に「どのようなイメージをしてもらうか?」「どのような感情を持ってもらうか?」という観点で言葉を考え組み立てていきます。
格安家具のニトリは創業当初、ほとんど店舗がないのに「南郷店」など、いかにも、他に支店があるかのようなネーミングをしています。
これを見たお客さんは、大手かな?と多少なり「信頼感」や「安心感」を感じます。
このように言葉ひとつで、お客様の脳内イメージはいかようにも操作できるわけです。
今回、ネーミングについてヒント的に書いてきましたが、大枠だけでも理解してもらえると幸いです。
最終的には、ネーミング考案者の「語彙力」と「一般消費者心理の理解度」が重要になってくるかと思います。
個人的には川上徹也さんの著書は全書バイブルです↓(ECサイト運営者には特にオススメ)
全体で演出する
最後は、全体で演出することで最大限の効果を発揮します。
具体的には写真やイラストを使ったパッケージデザインやフォント、あるいはちょっとしたキャッチコピーなど。
道の駅(これも良いネーミング!)などに行けば下記の写真のような果物や野菜が売られています。
それだけでも美味しそうです。
これらのトマトやミカンが、たとえ農薬まみれだったとしても消費者は「おいしそう。」「農薬使ってなさそう。」「愛情がこもってそう。」などと勝手に想像してくれます。
商品名に関しては、同じ値段のトマトが並んでいた場合。
「朝取り!佐竹さんちのフレッシュトマト(顔写真入り)」
といったシールが貼ってあるだけで、単に「トマト+価格」のシールよりそっちのほうが「良さそう」と思います。
「見た目が9割」なんて言うように、また、心理学にもあるハロー効果で説明されるように、人は見た目に感情や思考を引きずられます。
商品名を考える場合は、いかにお客の脳内の印象操作をするかです。
詐欺師になったつもりで、お客を騙すくらいのところからスタートするくらいが良いでしょう。
ただし、本当にだましちゃダメよ。(^_-)
もちろん、やりすぎて、商品名と内容のギャップが大きすぎると逆効果になるので、バランスを考えながら最終着地点まで持っていくと良いでしょう。
ネーミングができれば何でも売れる
「これ1冊読めば100%ヒットするネーミングができる。」そんな魔法のような本があればよいのですが、世の中には様々なジャンルの商品があってターゲットも千差万別です。
ターゲットに刺さるネーミングは、商品や購入ターゲットをよく理解している自分や自社で考えないといけないことになります。
でも、世の中、成功ネーミングから失敗ネーミングまで、他人や他社がわざわざお金をかけて実験した結果がたくさん公開されています
それらを、自分なりに分析して自社商品に応用します。