個人事業でも忙しくなってくると猫の手、いやアルバイトの手を借りたくなるものです。
アルバイトを雇う場合の注意点など、個人的で主観的な視点であれこれ述べてみたいと思います。
現在、当社はShopifyでネット通販を運営、また飲食店なども展開し、スモールビジネス起業のコンサルティングも行っています。
さて、個人事業主でも「経営者」。
以下、「経営者」や「社長」という言葉を使っていますが法人のことではありません。
社長として肝に銘じるべきこと
事業主としてアルバイトを雇うとき、絶対に忘れてはならないのが「アルバイトは単に労働の対価として給料をもらいに来ているだけ。」とうことです。
応募の際の履歴書や自己ピーアール、面接のときに話す内容がすべてウソとまでは言いませんが、採用されたいという気持ちがあるゆえの内容や発言です。
だから信じちゃいけません。
「ネットで御社のサイトを見たところ、販売している商品に将来性や魅力を感じました。また、社風も自分に合ってそうで、御社の掲げるミッションにに共感したので、ぜひ私も仲間に入れてほしい。」とか。
採用されいがための着飾った嘘っぱちの理由です(笑)。
まあ、そうは言うものの、経営者としてはうれしい言葉ですけどね。
でも、信じちゃあとが大変。
アルバイトは決して本音は言いませんよ。
社長の機嫌を損ねたり、嫌われると働きにくいですから。
言っていることを鵜呑みにするとバカを見ます。
雇用保険などの手続きは丸投げ
アルバイトを雇うと、一定の労働時間を満たしている場合「労災保険(仕事中のケガ等の保険)」と「雇用保険(失業した時の保障等)」に加入するのは義務です。
後々のトラブルを避けるためにも、これらの保険は必ず加入しておきましょう。
ハッキリ言って自分でやるのは「面倒くさい。」と思うかと思います。
その通りで超絶面倒くさいです。
だから、この部分は社労士に丸投げして代行してもらいます。
10万も20万もかかりません。
1、2万円で済みます。ちょっと優秀な税理士なら、その辺の知識もカバーできているので、社労士の知り合いがいなければ税理士などの頼んでも良いでしょう。
「くだらない手続き」というと厚生労働省にお叱りを受けるかもしれませんが、経営者は、事業が成長させるのに直接的に関係のない事務作業は極力避けるのが鉄則でしょう
社会保険に加入したいというバイトちゃん
アルバイトでも社員同等の勤務時間や日数になってくると、厚生年金や健康保険に加入しないといけないルールがあります。
知人のボヤキですが、マジメて一生懸命なアルバイトちゃんが「社会保険に入ってほしい。」と言うから、厚生年金や健康保険に加入したそうです。
結果、1年もしないうちに辞めてしまった・・・
だいたい、アルバイトは簡単に辞めれるのが最大のメリットです。
それを、面倒な手続きとコストのかかる社会保険に加入させようとするのは間違いです。
国の言うことをまともに聞いていたら商売できません。
ま、そんな不満を言ったところで現実は変わらないので、アルバイトには社会保険に加入する条件に抵触しないよう、うまく回すことです。
実際問題、アルバイトの社会保険どうする?
ある程度の規模の会社だと、アルバイトでも社会保険に加入させているところがあります。
そういうところから移ってきたアルバイトは、「この職場に社会保険ないの?え?マジ?前の職場は入ってくれたのに。」などとヌかすことがあります。
個々の企業の詳しい事情まではわかりませんが、個人的な推測ではアルバイトの社会保険加入は、年金事務所からの調査で面倒になるのを防ぐ意味と、社会保険を面倒してみるという部分での定着率の向上を狙う意味があるのではないでしょうか。
前者の年金事務所の調査は3、4年に一度行われます。
賃金台帳や出勤簿をもって担当官?がチェックして、加入が必要な人を指摘したりするやつです。
とにかく何の生産性もない無駄時間です。
そういった手間を省くためにデフォルトで加入しているケースもあるような印象です。
うちでも、アルバイトと話をして、口約束ですが「長期的に」ということを条件に社会保険に加入している子もいます。
あと、アルバイトの社会保険は加入するのとしないのとでは、とんでもないコストの差が生まれますよね。 例えば、20代のアルバイト(東京)で1月に20万円の給料になったとします。本人負担額は28000円、それに加え、約15%の30,000円が会社負担になります。結果、その子のコストはトータルで23万円になってしまいます。
こんな膨大なコストがかかることを、「社会保険に加入してほしい。」というアルバイトが知る由もなく。3万円利益を出すのがどれだけ大変なことかを知る由もなく・・・です。
いつ辞めるかわからないようなアルバイトに、時給以上のコストをかけるのは、経営的な視点では無駄遣い以外の何物でもない。
それなら、会社負担の3万円分で新しいアルバイトを30時間分雇ったほうが低コストで済むわけです。
だから、社会保険を逃れたい事業所は、「短時間のアルバイトを多数抱える。」という流れになっています。
無責任なのがアルバイト。期待しない。
「忙しいときに休んで怒られた。」と、20歳くらいの女の子。
小さなパンケーキ屋を、オーナーとアルバイト1、2人で回していると言います。
人気店で行列ができるほどらしい。
オーナーの気持ちもわからないでもないですが、怒るのはとんだお角違い。
なぜなら、経営者の姿勢として「アルバイトに責任感(店をきっちり回すと言う意味での)を持ってもらう。」と思うのは、そもそもの間違いだから。
もちろん、責任感を持って働いているアルバイトはたくさんいますが(持っている人のほうが多い)、それを100人中100人に、当然のこととして期待するのは間違いです。
「アルバイトでも責任感を持っていて当たり前。」といった感覚でいると、先のパンケーキ屋のように、忙しい時にふっと休まれて困ってしまうワケです。
だから、そこは「アルバイトは無責任」という前提で、あらかじめ策を講じておきます。
1人抜けるとまわらない。とか、その子がいないとまわらない。そんな状況を作ってしまうと、いざというときに困ります。
アルバイトは「いつ休んでも」「いつ辞めても」困らないように業務内容を組み立てておくのが経営者の仕事と言えます。
アルバイトを上手に使うコツ
アルバイトに期待するのは「仕事を100%近くできたらそれでよい。」ということです。
長期勤務を期待したり責任感を期待したり、仕事の達成率120%を求めてもダメ。
創業社長が一番仕事ができるワケですから、それをモノサシに学生や主婦のアルバイトの実力を測っていては、彼ら彼女らにわいてくるのは不満の気持ちだけです。
アルバイトちゃんには失礼かもしれませんが、しょせん半人前です。
だからアルバイト。
時給も安い。
でも、彼、彼女が働いてくれているだけで、業務のスピードアップや効率化ができますし、何より社長本来の仕事に割ける時間が増えるだけでも感謝しないといけないです。
単なる歯車。社長が儲けるための駒。
そんな目でアルバイトを見ていると、遅かれ早かれ嫌われ離職率も高くなり、最後は、まわりまわって自分に返ってきます。
裸の王様のような、残念で寂しい社長にならないためにも、アルバイトの使い方はしっかり考えていきたいものです。