個人事業主としてビジネスをスタートする場合、株式会社などの会社名にあたる屋号(やごう)を決めます。屋号をつけなければ、そのまま個人名になるので、それで問題のない人は決めなくてかまいません。
ネットショップにおいては、お客さんの振込口座になる場合があり、「個人名」だと詐欺だと怪しまれることもあるので、 屋号口座がかんたんに作れる楽天銀行でひとつ開設しておきましょう。
屋号とは芸名のこと
タレントが芸能活動するときにつける芸名。
個人が事業を始めるときの屋号。
呼び方は違いますが、同じことです。
タレントでも本名でやっている人がいるように、個人事業主の場合も、別に「山田太郎」と本名を使っても構いません。
ただ、屋号を決めておけばビジネス活動がやりやすくなるのでベストな屋号を付けておきましょう。
NGな屋号
屋号は自由につけることができます。
でも、つけちゃダメな屋号もあります。
例えば、「ユニクロ」や「ソニー」など、商標登録されているような言葉は使えません。
また、「世田谷区民サービス」など、公共サービスと勘違いするような屋号もNGです。
屋号は自分のためではない!?
初めての屋号を決めるとき、たいていの人は「かっこいい屋号」や「おしゃれな屋号」といった、自分中心で考えます。
それで間違っていないですし全然OKです。
でも、屋号は「お客さんにどうおもってもらうか。」のほうが重要です。
好きな名称で自己満足してもいいですが、お客さんは屋号を見て仕事を頼もうかどうか考えたりするわけです。
そんなときに、わけのわからない屋号だと「信用できるのかな?」って思います。
フリーランスや専門職、アパレルや雑貨店でも、基本的にや対顧客のための屋号であることが重要です。
屋号は、それを見たお客さんが「どう感じるか。」た重要。
アパレルショップなどはイメージが大切ですから、いくつか案を出して周りの人に聞いてもらうと良いでしょう。
「かっこいい」と思った屋号が、人によってはネガティブな印象を受けたり変な意味に解釈されたりすることもあります。
屋号で失敗した体験談
これまで、個人事業を何度か開業しましたが、初めての屋号は大失でした。
「かっこいい屋号にしよう。」と思ったのが、そもそもの間違いでした。
何日もかけて考えに考えぬいた結果、最高(と勝手に思った)屋号名を思いつきました。
10文字程度の英語です。
例えば、こんな感じです。
Sophistcated Plan
読めますか?
「洗練された計画」という意味ですが、英語をよく知っている人でないとわからない言葉です。
名刺も作りました。
ところが、名刺を受け取った相手は口をそろえて・・・
「これ、なんて読むの?」
「どういう意味?」
「何してる会社?」
会う人会う人に、いちいち説明しないといけない羽目になったワケです。
しかも、かっこいいと思っているのは自分だけで、誰一人「かっこいい会社名ですね。」なんて言ってくれた人はいませんでした。
ひとりよがりで、ただただの自己満足の屋号ネーミングです。
さらに、自分でネーミングしておきながら、「ソフィストケイテッド・プラン(屋号)の山田です。」と電話で屋号を名乗ることがあることを、すっかり忘れていて、発音しにくいものにしてしまったわけです。
毎回、自分の会社名を言うのに、噛む人はなかなかいないでしょう。
スムーズに発音できる屋号にすべきでした。
案の定、その事業は2年ほどで廃業してしまいました・・・
屋号で成功をキメる6つの原則
個人事業を始めたなら必ず成功したいですよね。
そんなときに役立つのが屋号の決め方ネーミング6原則。
この記事のオリジナルは2005年です。
今では、いろいろなサイトにパクられていますね(笑)。
でも、以下の6原則は、ここだけで紹介してるオリジナルの原則です。
1.事業内容が一瞬でイメージできる
2.読みやすい
3.発音しやすい
4.おぼえやすい
5.固有である
6.縁起がよい
事業内容が一瞬でイメージできる
「業務内容がわかる。」ということ。
それも一瞬で。
「わんこ洋服本舗一番」「猫好きグッズ専門館」など。
また、「〇〇設計事務所」「〇〇会計事務所」など、昔ながらの屋号は実にストレートに表現しています。
「どうしてもそれが難しい。」「格好悪いので避けたい。」という場合は、キャッチコピーとして表現しておきます。
(例)・・・「○○」部分がキャッチコピー
「古民家再生の」コモン・アーキテクト
「手作りパンケーキの」プチレモン
「バイク用品専門の」アクシデント
※すべて架空の名称です。
読みやすい
誰をお客さんとして想定しているのか。
日本人相手なら日本語が鉄則です。
英語やフランス語、イタリア語などを使うとかっこいい、おしゃれなネーミングができます。
でも、日本人のお客さんには迷惑な話です。
もっとも、イタリアンのお店がイタリア語の店名をつけたり、フランス料理店がフランス語を使うのは問題ありません。
飲食店はちょっと特殊なケースが多くて、屋号以前にお客さんはお店の外観を見るからです。
飲食店の場合は、屋号よりも「店構えを見たときに何の店か一瞬でわかる」ことのほうが重要です。
話はそれましたが、日本人相手のビジネスなら、ひらがなやカタカナなどは最高です。
子供でも読めるので老若男女をターゲットとしている場合は、よくマッチします。
(例)
ガラクタ回収屋さん(リサイクル業)
ケンコー歯科(歯医者)
セレブ・ワン・ネイル(ネイルサロン)
発音しやすい
日本語には見てすぐ理解できる言葉であるけど、発音しにくい言葉があります。
例えば、老若男女【ろうにゃくなんにょ】や派出所【はつしゅじょ】など。
思いついた屋号があったら、まずは発音してみましょう。
覚えやすい
できれば覚えやすいのが良いですね。
インパクトを出したり、イメージしやすい言葉をつかったり。
一昔前は、バンド名と言えば「ハイローズ」や「ウルフルズ」、「スピッツ」のように短めが多かったですよね。
でも、最近は「SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)」や「ヤバイTシャツ屋さん」など珍名が出てくるようになりました。
音楽もビジネスですが、バンド名以前にクオリティーが大事なので、ちょっと参考にはならないかもしれませんね。
固有である
できれば国内に1つしか存在しない屋号名が理想です。
なぜなら、お客さんが屋号をおぼえてくれて、ネット検索したときに1番に出てくるからです。
でも、すでに存在している他の会社名や屋号、商品名やサービス名とかぶってしまうと、見つけてもらえません。
ネット検索してもらう可能性がある場合は、検索すると一発で見つけられる屋号にしておきましょう。
「A1(エーワン)」とは、英語で「一流の」とか「優秀な」という意味です。
「一流の会社にするぞ!」という願いを込めたのかどうかは知りませんが、「株式会社エーワン」さんは無数に存在しています。
同じ屋号、会社名が多数存在していると、お客さんは、どれが自分の取引先なのか、なかなかたどり付けません。
「ありふれた言葉だけ」で屋号を決めてしまうと、お客さんを迷子にさせてしまうことになります。
縁起が良い
「BAD BOY(悪い少年)」
ファッション・ブランドのひとつですが、これは例外です。
バッドな屋号を付けて商売が繁盛するとは思えないですよね。
結婚式で、「切る」とか「別れる」「終わり」という言葉を使わないように、屋号もできるだけ縁起の良い言葉で構成したいものです。
そのためには、一般的にネガティブなイメージで解釈される言葉は使わないことです。
できるだけポジティブなイメージの言葉を使います。
ハッピー、太陽、ひまわり、イエロー、ホワイト、青空、幸せ、笑顔など、ポジティブなイメージしかないような言葉を使えたなら、ビジネスは間違いなく成功へと導かれるでしょう。
また、社名判断などを使って字画から運勢のよい屋号を決めるのも個人的には好きですね。
「縁起が良い屋号だから必ず成功する。」というよりも「縁起の良い屋号を付けたから。」というポジティブな思考が成功へと導いてくれます。
ECサイトのショップ名
ECサイトのショップ名は屋号以上に重要と言えます。
屋号とショップ名は違っていても問題ありません。
屋号が「岡山田正一郎商店」でも、ECサイトのショップ名が「ファンシー雑貨セレクション」でも問題ありません。
ECサイトのショップ名は、お店のメインテーマを表すキーワードを入れるのが基本です。
雑貨なら「ザッカ」や「Zakka」、ペット関係なら「ペット」「Pet」など。
「おしゃれだから。」という理由で、ショップ名を「ベンジャミン」などと付けてしまっては、まったく意味がありません。
ベンジャミンは植物の名前です。
ベンジャミン専門店ならそれでOKですが、販売商品がベンジャミンと無関係なら、無駄なネーミング担ってしまいます。
ECサイトのショップ名は、ベタで良いんです。
「わんこ洋服本舗」とか「熱帯魚百貨店」など、お客さんが検索するキーワードをしっかり入れておくのが鉄則です。
さらに、ショップのアドレス(ドメイン)にも、キーワードを入れておけばパーフェクトです。
https://wanko-yogfuku-honpo.com
https://nettaigyo-hyakkaten.com
ショップ名が格好良いとか格好悪いとか、そんなくだらない基準で判断していてはビジネスはできません。
いかにお客さんにおぼえてもらうか。
いかに探しやすいか。
いかに検索に馴染むか。
そのような観点でショップ名を付けます。
屋号口座を作ってコンプリート!
屋号は決めた。
開業届けも出した。
その後は、屋号付きの銀行口座を作れば、個人事業主としての手続きはコンプリートです。
屋号口座が簡単につくれるのはPaypay銀行。
ネットで申し込みが完結してしまうので、とりあえず作っておいて損はないです。
でも、銀行からの借り入れなどを考えている場合は、地元の地銀や都市銀行にも屋号口座を作っておいても良いです。
例えば、三井住友銀行でも屋号口座は作れます。
ただし、わざわざ・・・わざわざ・・・店舗に足を運ぶという面倒くさいことがあります。
三井住友銀行では「屋号のみ」の口座が作れます。
Paypay銀行で屋号口座を作ったら口座名は「ヤゴウ・レッツゴー ヤマダ タロウ」と、どうしても個人名が入れられてしまいます。
でも、三井住友銀行では「ヤゴウ・レッツゴー」と、ヤゴウのみの口座が作れます。
屋号口座に個人名を入れたくない場合は、三井住友銀行で口座を作ってみても良いかもしれませんね。
本日現在、三井住友銀行が「屋号のみ」の口座が作れるかどうかは確認していないので、興味あれば直接店舗に行って問い合わせてみてください。
ただ、銀行さんも「屋号のみ」で口座を作ることには慣れていないので、窓口のお姉さんによっては知識がない場合もあります。
大目に見てあげましょう。