定番「アンカリング効果」で人の心理を操作しよう

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「いつもは1万円なんですけど、今日は特別に5,000円!」

東京インターナショナル・ギフトショーのとあるブースで年寄り社長に言われた一言です。

こちらは、アンカリング効果を知っていて普段使う側。

失笑・・・

ところが、一般の人なら次のような反応が多いでしょう。

「え!?そうなの?めっちゃお得じゃん!」と。

安く思える心理にさせる

いきなり「5,000円!」と言われるより、最初に「本当は1万円」と数字を示されることで、それに引きずられ、5,000円が安く感じてしまう効果がアンカリング効果。

ネット販売なら二重価格がそれにあたります。

定価:10,000円
特価: 5,000円

定価があるのとないのとで価格の感じ方が違います。

人ってなんて単純なんでしょうね!

ただ、販売側としては、このテクニックを使わない手はないです。

二重価格3つのデメリットに注意

ネット販売における二重価格には3つのデメリットがあります。

オオカミ少年効果

ただし、上記の二重価格などは、ずっと同じ表示スタイルだと消費者も慣れてきます。

オオカミ少年効果とでも言えばいいでしょうか。

「そんなこと書いて、どうせ5,000円でも十分利益がでるんでしょ!騙されないわよ!」というふうに。

ただ、ネット販売の場合は、毎日、同じお客さんが同じページを見ているわけではないので、二重価格は状態化しているし、効果もそれなりに発揮しています。

「安売り屋さん」を暗示

定価や通常価格を打ち消し線で消して、セール価格を表示するということは、お客さんに対して「安売り屋さん」という認識を与えてしまいます。

二重価格の表示方法は、特にブランドイメージを大事にするブランドはもちろん、メーカーなどは絶対にやらない手法です。

高級ブランド店に行けばわかりますが「安いですよ。」とか「今日はお得です。」といった売り方をしていません。

ブランド価値を毀損するからです。

商品価値、ブランドイメージを優先する場合、「この商品は割引していません」とばかりに二重価格は表示しないことが多いです。

ところで、閉店間際のスーパーのお惣菜コーナーに行ったことありますでしょうか?

このように「半額」とか「50%オフ」という表示、あるいは1000円→500円、なんて表示されていると「安くなった。」という認識と「品質が落ちている。」という印象もセットで思い浮かべると思います。

このように食品等の場合は、値段うんぬん以前に、クオリティーの悪い変化を暗示することになるので注意が必要でしょう。

「新鮮なものを食べたい。」と思っている人にとってはマイナス効果しかないことも、忘れたくないですね。

そもそも二重価格が表示できない

例えば、ヤフーショッピングでは、出品するなり、二重価格で表示することはできません。

通常価格 :10,000円
セール価格: 5,000円

このように表示したい場合、通常価格で販売した実績が4週間以上ないと、そもそもセール価格が設定できないようになっています。

二重価格については、実は、消費者庁が「景品表示法」と言う法律のなかで、あれこれルールを決めているんですね。

だから、ヤフーショッピングは上場企業ですから、コンプライアンスがうんぬんを気にして、ちゃんと法令遵守をしているわけです。

でも、Shopify(当社利用)などでやる場合は、そんなことチェックされませんし、そんなに厳しい法律でもないので、半分形骸化していると言えます。

楽天やヤフー、Amazonなど大手プラットフォームで販売する場合は、二重価格ありきの場合は、やりづらい点があるので代替案などを考える必要があります。

数字以外で応用する

アンカリング効果は、販売現場などで「最初の数字」を示しておいて、あとに出す「数字」の認識を変えてしまうというテクニックです。

でも、数字でなくても、印象操作としてもアンカリングすることは、テクニックとして使えます。

例えば、婚活パーティーで、女性に対し「おれ、電車オタクなんだよ。」と言うと、ほとんどの女性は、あまり良い印象は持ちません。

「でもさ、内科医だから、なかなか動画を撮りに行く機会がないんだよ。」とすれば、「下げといて上げる」効果が効果を発揮します。

先に「おれは内科医で年収1,500万」と言ったあとに「鉄男」を告白すると減点になるわけです。

これは、立場が変わっても同じですね。

見た目の良い女性は減点方式が働き、そうでない女性は加点式になります。

これらも、アンカリング効果の一種ですね。

感情にもアンカリングが働く!

感情にもアンカリング効果があります。

例えば、夜の酒場などで、褒めてもらって「気分良くなっている時」と、料理がなかなか来ず店員の態度も悪く「イライラしている時」とでは、「おかわりいかがですか?」と勧められたときの反応も変わってきます。

気分いい時はおかわりをし、イライラしている時は「そんなことより料理早くしろ」となったりします。

もちろん、反応は人によりけりですが、人間なら「感情」のアンカリングは必ずあるでしょう。

豆知識

心理学は欧米から輸入された学問です。

だから、アンカリング効果というふうに英語になっているわけですね。

もともとの形はアンカー(anchor)です。

語源は船などで使うイカリです。

海底に沈めたり引っ掛けたりするやつですね。

anchorには、他に、陸上競技などの「最後の走者」とか、テレビやラジオ番組の総司会者という意味もあるので、合わせて覚えておきましょう。

ちなみに「ニュースキャスター」は和製英語なので国外では意味が通じません。

英語を使う機会がある人は、正しい知識を身に着けておくと良いとおもいますよ。