「代金引換で注文しておいて受け取らない。」のが受取拒否。
運送会社によっては「受け取り辞退」などと、まるで受け取らないのが客の選択のひとつであるかのような言葉を使っています。(**運輸さんよ、そんな言葉使うなよ。)
いずれにせよ、ECサイト運営者を悩ます困った客の代表が「代引きの受取拒否。」
受取拒否に最初は腹がたっても、いくつか経験しているうちに、「必ず発生するもの」として冷静に対応できるようにります。
当店で受け取り拒否が発生した経験をもとにマニュアル的にまとめました。
ECサイト運営者の参考になれば幸いです。
受取拒否はどうなる?
注文しておきながら受け取りを拒否するのは業務妨害以外のなにものでもありません。
例え、注文した後に気が変わったとしても業務妨害になります。
なぜなら、お店側が商品を出荷した時点でお店は運送料を支払っているからです。
運送料を払って送ったのに受け取り拒否をされると、運賃の請求がくるだけです。
つまり、残るのは「損」だけです。
受取拒否はお店に損害を与える行為なので、ECサイト運営者としては徹底して消費者にたいして「受取拒否は業務妨害」であることを周知することです。
受取拒否をやってしまうと、お店によってはブラックリストにいれられます。
楽天ショップのイオシスさんでも、次のような注意書きをしています。
代引き受け取り拒否履歴のある方は、代引きでご注文頂きましても、先振込又はお取引自体をお断りさせて頂きます。 その際当店からその旨ご連絡は致しませんのでご了承ください。
https://www.rakuten.ne.jp/gold/pc-good/faq/order/1748.html
客としての代引き受け取り拒否の仕方
よっぱらった勢いで注文してしまうこともあるでしょう。
しらふにかえって「しまった。」というときの代引きの受取拒否の仕方について。
上記のようにすでに運賃が発生してしまっているので、「運賃は負担するのでキャンセルをお願いします。」とお店に連絡することです。
ミスってしまった注文なんですから、それなりのつぐないは必要です。
それが大人としてのマナーでしょう。
もちろん、アマゾンなどの大手通販などは受取拒否など「あるある」ですべて事務的に処理されます。
しかしながら、目立ってしまうと出禁になるシステム構成になっているはずです。
「注文したけど気が変わった。」というのは100%消費者の責任なので、きっちりすっきり解決するよう努めたいところです。
発送前と発送後ではワケが違うぞ
販売店として、損害を受けるのは商品発送後の受け取り拒否。
すでに商品を発送しているので、送会社からの運賃の請求が発生します。
これは、送料無料で販売していても同じです。
「送料無料」でも、お店はお客様に代わって送料をお店が負担していているわけですから、発送後に受け取り拒否をされるとたまったもんじゃない。
だから、「発送したけど客が受け取らない」=「運賃の損害」となります。
もちろん、こんな事情を知っている消費者は少ないので、平気で受け取り拒否をするのです。
送料無料と聞いて「運送会社が無料で運んでくれている。」と思っている低思考の消費者もいます。
いかなる場合も、一度商品を発送すると運賃が100%かかっていて、「注文キャンセル」と言っても、一度発送された商品には運賃がかかります。
逆に、代引き商品の発送前のキャンセルは、もちろん運賃は発生しません。(梱包材などのコストは発生している可能性はある。)
なので、客の立場なら、キャンセルを決めたらいち早くお店に連絡をするのが重要です。
もし、すでに発送されている場合は、お店側に送料の支払いが必要かどうかを確認してください。
代引きの受取拒否は2種類
注文品を受け取らないお客様は2つに分けることができます。
まずは、そのオーダーがどちらに区分されるか持っている情報から判断することからスタートします。
(A)悪意のない受け取り拒否
(B)悪意のある受け取り拒否
悪意のない受け取り拒否
「悪意のない」とは、「受け取りを拒否することで単純にキャンセルできると思っている」場合や、注文したお客様と同居する「別の家族」が購入したことを知らずに「私は覚えがない」と、商品を受け取らず配達員を帰してしまうなどです。
そのほか、注文直後に長期出張に出てしまって「注文のことをすっかり忘れていた。」といったケースもあります。
この場合は受け取り拒否ではなく、保管期限が切れて返送されてきます。
悪意のある受け取り拒否
悪意のあるケースでは、「受け取る意思もないのに注文するイタズラ」や、「いらなくなったたのか、受け取らず(受け取らないことで勝手にキャンセルにしていう)」そして「何の連絡もしてこない」ケースなどです。
イタズラの場合は、架空の住所であったり、注文内容に不自然な点が見つかる場合もあります。
でも、過去20年の経験値ですが99%は悪意のない受取拒否です。
よほど悪質なケースが発覚したら、それなりの処置を取る必要がありますが、めったにないです。
余談ですが、ネット通販駆け出しのころ、20万円ほどの商品を送ったのですが期限切れで返送(ゆうぱっく)。
客に連絡したところ「すみません。忙しくて受け取れませんでした。もう一度送ってください。」と。
20万の商品が売れたなら10万円近い利益ですから、再送の送料なんて知れています。
そして2回目の送付。
するとまた保管期限切れで返送。再度客に連絡。
客は「申し訳ないです。今度こそ受け取るので送ってください。」と。
客を信じて3度目の送付。
そして、保管期限切れでまた返送。
客に連絡。「・・・」返答なし。電話をかけても出ない。
ここで初めて「やられた!<(*o*)>」と気づきました。
その後は、その彼(当時大学生)からは注文を受けないよう自社独自のブラックリストに載せました。
幸い、同じ奴からのイタズラはありませんでしたが、手痛い受取拒否の洗礼となりました。
受け取り拒否の対処法
対処法は、まずはメールで、「商品が返品されてきた」ことを伝えたうえ、「注文の意思があるかどうか」伺います。
別の家族が配達員を帰してしまった場合などは購入の意思があるので、「再度発送してほしい」といった回答が得られます。
その際、2回目の出荷にかかる送料もご負担頂くこともできます。
メールで連絡がつかないお客様は、電話やFAXなどでコンタクトをとってみます。
それで連絡がつけば対処可能ですが、連絡がつかない場合は、注文の意思がないとしてキャンセル扱いにしてしまいます。
1週間くらいの猶予をもって対応すると良いでしょう。
ちなみに、出荷時に発生した送料は無駄になります。
また、運送会社によっては、返品時にも送料がかかる場合があり、送料のコストが2倍で発生してしまうこともあります。
でも、不定期ですが必ず発生してしまうコストと考えて、「損金」として処理してしまいます。パソコンが故障したときの修理費用のようなものとして考えます。
受け取り拒否の対策
先の例にもあるように、「受け取らないことでキャンセルになる」と勘違いしているショッピング初心者のことも考慮して、発送連絡メール内に、「受け取らないことではキャンセルにはならない」あるいは、「代引きのキャンセルは送料の支払い義務が生じる。」といった内容の記載をしておきます。
文例)
・代引きの受け取り拒否はキャンセルにはなりません。
・代引きの商品発送後のキャンセルはご遠慮ください。
・代引きの商品の発送後のキャンセルには往復の送料のご負担が必要です。
・代引きのご注文品のキャンセルは、かならず受け取り前に当店までごご連絡ください。
なお、代引きの受け取り拒否が何度か発生すると、感情的になってネットショップのページ上に「代引きの受け取り拒否は、営業妨害なのでご遠慮ください。」などと書きたくなることもあると思います。
気持ちはわかりますが、ネガティブなメッセージを99%以上の善良なお客さんに向けて発信すると、それを見たお客さんも気分が悪いですし、お店の印象を悪くしてしまって返って逆効果です。
※関連情報:迷惑客やイタズラ注文の対処法と対策
受け取り拒否。送料を請求する斬新な方法
当店でも過去には何度も受取拒否があり難儀したものです。
最近は、代引き注文そのものが減っているので受取拒否トラブルはありません。(ここ10年くらい。)
発送後の受取拒否は「悪い行為」ではありますが、必ずしも悪意があるわけでもないのでお店としては冷静に対処するのが良いですね。
ただ、受け取り拒否があった場合、すでに発生した送料は請求して回収したいところです。
「絶対に請求する」という場合、まず候補にあがるのが内容証明郵便。
個人的には出したこともないし受けたこともないので、いまいちピンと来ないですね。
でも、「これなら高確率で請求できるんじゃね?(いいアイデア!)というのを発見したのでシェアしておきます。
それは、電報。
「え~~~~そういう手があったのか!」と思う人もいるでしょう。
ぜんぜん、そんな発想はなかったです。
電報とは結婚式や葬式などで使われるのが定番ですが、なんと、取り立て的、督促状的に電報を使っているのがクレジットカード会社のJCB。
たまたま残高不足で引き落としができなかったことがありました。
すると、「コンビニ払込票」を送ってくるわ「電報」を送ってくるわで徹底して回収する姿勢。
これは代引き拒否の客に対して送料を請求するのに応用できそうです。
電報は、わざわざ郵便局に出向く必要もなくオンラインで出せますからね。
かなりインパクトはあると思います。
写メしておいたのでご参考まで。
ヤマト運輸の不在票にそっくりですが、大きさは2倍もあろうかというサイズです。
初めて見ました。
かなりインパクトがあるので「なに!?」って思います。
しかも「電報ってどーいうこと!?なにが起きたの!?」と、じゃっかん混乱をきたします。
ただ、この不在票は再配達依頼用ではなく、「不在だったのでポストに入れておきました。」というお知らせです。
で、いっしょに入っていた電報がこれ。
ほぼA5サイズの2枚開きです。
そして開くと次の通り。
なかなか緊急感のある文面ですね。
良心のある代引き拒否客には、そこそそこ刺さるのではないでしょうか。
JCBナイスアイデアをありがとう。
悪意のあるイタズラが繰り返される場合
明かに嫌がらせ。悪意のある注文者の場合は、いち早く、その悪人からのアクセス手段を経つことです。
別のページにも書いていますが、悪意ある注文者のメール送信のデータをもとに、サイトを閲覧できないようにブロックしたり、FAXや電話の場合は着信拒否をしたり、可能なブロック手段はすべて講じます。
それでも、悩まされる事態が続く場合は、警察や弁護士に相談するのが良いです。
法律を知らず、ただ怒りを元に自己流に対処してしまうと逆に訴えらたら本末転倒です。
「通販未払い防止ネットワーク」といったNPO法人もあるので、わりと頻繁に未払いで困っている場合は、こういった組織を利用するのもひとつの手です。
また、通販システムのショップサーブでは、不正注文者のデータが2万店以上のお店からデータベース化されているので、もしかすると、上記のNPOよりはデータ量が多いかもしれません。
「事前の一策、事後の百策に勝る」と言うように、が起きてから慌てるより、想定できるリスクは最大限準備していくのが良いですね。
余談です。「注文もしていない商品がどんどん届く・・・」ということで困っていた知り合い(お年寄り)がいました。
ECサイト運営者の視点では「個人情報が不正に利用されてイタズラされている。」くらいまでしか想像できなかったのですが被害者はお年寄り。
ネット通販なんてほどんど利用しない。
「なんか違和感を感じるな・・・」と思っていたところ、その人を知る近所の人の嫌がらせだったことが判明しました。
受け取り拒否の心構え
営業マンが営業資料をパワーポイントで作る。
「ここのフォントどれにしようか。」
「イラストはどんなのが適切かな。」
など試案を巡らせる。
ごく一般的にみられる光景だと思います。
でも、よく考えてみると、「営業マンの仕事は仕事を取ってくること。」「取引先を面談すること。」これらがメインです。
フォントにいくらこだわったところで仕事を取らなければ利益になりません。
つまり、「いかに本業に時間やエネルギーを注ぐことが大切か。」という例えです。
同じように、イタズラや受け取り費拒否の客が発生したからと言って、感情的になり「内容証明郵便を送ろう」とか「とことん追い詰めてやろう。」なんてあれこれ策を講じるのは利益とは関係のない行動です。
人間界では、100人の人間がいれば1人や2人は悪いやつがいるものです。
確率の問題です。
代引きの受け取り拒否があったとしても「たまたまババを引いてしまった。」くらいの感覚で、感情を挟まず事務的にサクッと処理してしまうのがビジネス上はもっとも合理的やり方と思います。
以上、ECサイト運営者向けの代引きの受け取り拒否マニュアルでした。
ご質問やご感想あれば、どしどしお寄せうださい。
ご感想は喜びます。(*´ω`*)